作業着を着た男性が、手でつかんだたくさんの白い繭を、手のひらからステンレスボウルの中に落としている様子を写した写真

霜の降りる日が多くなりました。ちょっと着込みすぎ、くらいが安心かもしれません。

繭細工から始まりシルクパウダーの化粧品利用・食用利用など、今も町に深く根付いている、絹の文化。
町立戸倉小学校では毎年4年生に向け、養蚕についての特別授業を行っています。

震災によって校舎を失い、登米市や町内の小学校校舎内で授業を続ける間も蚕の授業が途絶えることはありませんでした。4半世紀にわたる活動は大日本蚕糸協会からも認められ先日 養蚕功労者表彰『蚕を学ぶ奨励賞』を受賞したそうです。

今年の4年生が6月から育てた蚕は5,000個の繭になったといいますから、プロ顔負けです。そんな授業の様子を見学させてもらいました。

11月下旬。この日の授業は「糸取り」。蚕の繭を煮て絹糸を取り出すのです。

「まゆ」と書かれた鍋の中で、白い繭がたっぷりとお湯に浸かってゆでられている様子を写した写真

教えるのは養蚕指導員 阿部一郎先生です。
(以前一郎さんをご紹介した記事は下記リンクをご覧ください。)

養蚕指導員 阿部一郎先生の周りに子どもたちが集まり、説明を聞いている様子を写した写真

煮ること10分。鍋いっぱいの繭がほぐれてきました。

阿部先生が湯気の上がる鍋から箸で繭を引き上げ、白い繭からたくさんの絹糸がほつれて伸びている様子を子どもたちが見つめている、絹の糸取り体験の写真

ここで昔ながらの糸取り機が登場。繭から糸の端を探り出し、10~20本分束ねて繰り出します。

教室で阿部先生が絹糸を取る機械を操作し、複数の小学生が興味深く見学している様子の写真
子どもが絹糸を取る機械を自分で操作し、隣で男性が指導している様子の写真

「糸めちゃくちゃきれいだよー」、「つるんつるんしてる。ギターの弦みたい」ピンと張った糸は滑らかで、病みつきの感触。

絹糸を巻き取る黒いボビンに細く透明な絹の糸が巻き付けられているアップの写真

一つの繭からどれだけの長さの糸が取れるのでしょうか。校庭で引き出してみたところ…

外で子どもが両手を広げて糸の張り具合を確かめている様子の写真

トラック9周分、約1,800メートルにもなりました。

広い運動場で数名の子どもたちがトラック内に間隔をあけて立ち、糸を張って長さを確認している遠景の写真

「蚕が休まずに糸を吐いたからだよ。しかし1.8キロは長いねえ。」
一郎先生も笑ってしまう長さです。

生徒さんたちは他にも養蚕の歴史や繭の利用法などを1年間かけ学んでいきます。繭を染め、交通安全マスコットも作りました。

紫色と青色にきれいに染めて作られた繭の交通安全マスコットが透明なビニール袋に梱包されている写真

このマスコットは12月4日(水曜日)、さんさん商店街にて戸倉小学校の3年生~6年生の生徒さんたちが町の方や観光客の方へお配りするそうです。時間は朝9時から10時頃。見かけたら声をかけてあげてください。

子どもたちが教室の中で、木製の糸取り機を囲みながら、絹の糸取り体験をして楽しそうに触れている様子が写っている写真

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