○南三陸町安全・安心なまちづくり条例

平成26年9月17日

条例第21号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 町、町民及び事業者の役割(第4条―第7条)

第3章 要配慮者への配慮(第8条)

第4章 安全・安心の日等(第9条・第10条)

第5章 安全・安心なまちづくり推進会議(第11条―第15条)

第6章 地域安全指導員(第16条―第21条)

第7章 補則(第22条)

附則

平成23年3月11日午後2時46分、国内観測史上最大の規模となる東北地方太平洋沖地震が発生した。この地震は、広く一般に普及した想定を遥かに超える規模の大津波を発生させ、この大津波は、正に人知を超えた猛威を振るい、多くの尊い人命、財産を一瞬にして奪い去り、かけがえのない私たちのふるさとに未曽有の被害をもたらした。原子力発電所の事故をも生み、後に東日本大震災と呼ばれることとなったこの災害は、南三陸町、宮城県のみならず、太平洋沿岸の各地域、そして我が国に甚大な被害、影響を及ぼし、私たちは、自然に対する人の無力さ、自然に立ち向かうことの限界を改めて痛感した。

こうして記憶される自然災害に加え、私たちの日々の暮らしには、都市化や人間関係の希薄化が進むにつれ増加し凶悪化する犯罪、生活環境の利便性が向上するにつれ増加し重大化する事故といった危険も存在する。これらは、各個人の力では到底防ぎきれず、人類の共通した願いである安全で安心できる日々の暮らしを脅かすものとして、今この時も存在する。

私たちの生命、財産及び暮らしを守るためには、安全で安心できるまちづくりについて、私たち自身が考え、積極的に、かつ、協働して進めていかなければならず、それこそが、未来の命、暮らしをも守ることにつながると確信する。そしてまた、そうしたまちづくりを、東日本大震災により大きな被害を受けた私たちだからこそできると信じ進め、発信していくことは、東日本大震災の発生後において全国、世界中から寄せられた数え切れないほどの支援に応える使命であると考える。

よってここに、未来にわたり海、山と共に生き、誰もが安心して暮らせる安全なまちの創造を実現するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、安全・安心なまちづくりに関し必要な基本理念を定め、並びに町、町民及び事業者の役割を明らかにするとともに、安全・安心の確保及び推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、現在及び将来の町民が安心して暮らすことができる地域社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「安全・安心なまちづくり」とは、災害による被害の防止及び軽減並びに犯罪及び事故の防止に関する活動、環境の整備その他の安心して暮らすことができる安全な地域社会を築くための取組をいう。

(基本理念)

第3条 安全・安心なまちづくりは、町、町民及び事業者の相互の協力により、次に掲げる事項を基本として推進されなければならない。

(1) 町、町民及び事業者の自主性が発揮され、かつ、それぞれが持つ能力に応じた適切な役割の分担及び相互の連携が図られること。

(2) 町、町民及び事業者が、自らの安全は自らが守る意識を基本とし、過去の災害、犯罪及び事故から得た教訓を日常の活動に生かし、非常時(災害、犯罪又は事故が発生したときをいう。以下同じ。)に備えること。

(3) 安全・安心なまちづくりを次代の社会に伝承していくこと。

第2章 町、町民及び事業者の役割

(町の役割)

第4条 町は、町民、事業者等と連携を図りつつ、次に掲げる施策を常時かつ継続して実施するものとする。

(1) 町民、事業者等に対する安全に関する意識の啓発及び必要な情報の提供

(2) 町民及び事業者が自主的に実施する安全に関する活動に対する支援

(3) 安全な地域社会の実現のための環境整備

(4) 前3号に掲げるもののほか、第1条の目的を達成するために必要な施策

2 町は、非常時においては、町民、事業者等の協力を得て、直ちに必要な措置を講じるものとする。

第5条 町の一般職の職員は、町民の安全の確保に寄与するため、安全に関する知識及び技術の習得に努めるとともに、地域における安全・安心なまちづくりに関する活動に積極的に参加するよう努めるものとする。

(町民の役割)

第6条 町民は、安全・安心なまちづくりへの理解を深め、日常の生活において自らの安全の確保に努めるとともに、相互に協力して、地域における安全・安心なまちづくりに関する活動に積極的に取り組み、及び町が実施する安全・安心なまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 町民は、非常時においては、相互に協力し、自ら積極的に活動するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、その事業活動の実施に当たっては、安全の確保に努めるとともに、地域社会を構成する一員として、地域における安全・安心なまちづくりに関する活動に積極的に参画し、及び町が実施する安全・安心なまちづくりに関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者は、非常時においては、その保有する能力を町民の安全の確保のために提供するよう努めるものとする。

第3章 要配慮者への配慮

第8条 町は、安全・安心なまちづくりに関する施策の策定及び実施に当たっては、要配慮者(子ども、高齢者、障害者、女性、観光客、外国人その他の非常時において配慮を要する者をいう。次項において同じ。)に配慮しなければならない。

2 町民及び事業者は、要配慮者のプライバシーの確保及び要配慮者個人の情報の保護に配慮しつつ、地域において要配慮者が安心して暮らすことができるよう配慮するとともに、非常時においては、要配慮者のうち特に支援を要するものへの支援の実施に努めるものとする。

第4章 安全・安心の日等

(安全・安心の日の設定)

第9条 広く安全・安心なまちづくりについての関心と理解を深めるとともに、東日本大震災から得た教訓を伝承するため、南三陸町安全・安心の日(以下この条において「安全・安心の日」という。)を設ける。

2 安全・安心の日は、毎月11日とする。

3 町は、安全・安心の日においては、その設置の趣旨にふさわしい事業を実施し、並びに町民及び事業者による各種活動を推進するよう努めなければならない。

(訓練の実施)

第10条 町は、毎年1回以上、町民、事業者等が参加する訓練(地震・津波の発生その他非常時に対応するための訓練をいう。)を主催しなければならない。

2 町民及び事業者は、前項の訓練に積極的に参加し、自助(非常時において自らを守ることをいう。)及び共助(非常時において地域社会がお互いを守ることをいう。)の仕組みづくり及びその確立に努めるものとする。

第5章 安全・安心なまちづくり推進会議

(推進会議の設置)

第11条 町長は、その附属機関として、安全・安心なまちづくりに関する基本的な事項を総合的に審議させるため、南三陸町安全・安心なまちづくり推進会議(以下この章において「推進会議」という。)を設置する。

(推進会議の組織等)

第12条 推進会議は、防災、防犯、交通安全その他安全・安心なまちづくりに関する業務又は活動を行う者のうちから町長が任命する委員10人以内をもって組織する。

2 町長は、前項の任命に当たっては、児童・生徒の保護者にある者の任命その他委員の年齢、性別等に偏りがないよう配慮するものとする。

第13条 推進会議に会長を置き、会長は、委員の互選により定める。

2 会長は、推進会議を総理し、推進会議を代表する。

3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長が指名する委員が、その職務を代理する。

(委員の任期等)

第14条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

(雑則)

第15条 この章に定めるもののほか、推進会議の運営に関し必要な事項は、会長が推進会議に諮って定める。

第6章 地域安全指導員

(指導員の設置)

第16条 町民及び事業者への安全・安心なまちづくりに関する意識の普及啓発及び必要な助言・指導を行うため、南三陸町地域安全指導員(以下「指導員」という。)を設置する。

(指導員の任命)

第17条 指導員は、安全・安心なまちづくりに関する知識を有し、実行力を有する者のうちから町長が任命する。

(指導員の定数等)

第18条 指導員の定数は、10人以内とする。

2 指導員に主任指導員1人を置き、必要があるときは副主任指導員を置くことができる。

(指導員の任期等)

第19条 指導員の任期は、3年とする。ただし、補欠の指導員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 指導員は、再任されることができる。

(指導員に対する報酬及び費用弁償)

第20条 指導員には、報酬を支給する。

2 前項の報酬の額は、別表のとおりとする。

第21条 指導員が安全・安心なまちづくりに関する職務に従事した場合においては、別表に掲げる費用弁償を支給する。

2 指導員が公務のために旅行した場合には、旅費を支給する。この場合において、支給する旅費の額及び種類は、町の一般職の職員に支給する旅費の例による。

第7章 補則

(委任)

第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成26年10月1日から施行する。ただし、第5章の規定及び附則第3項の規定(別表中「安全・安心まちづくり推進会議委員」を「安全・安心なまちづくり推進会議委員」に改める部分に限る。)は、平成26年11月1日から施行する。

(南三陸町犯罪のない安全・安心まちづくり条例の廃止)

2 南三陸町犯罪のない安全・安心まちづくり条例(平成19年南三陸町条例第26号)は、廃止する。

(南三陸町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 南三陸町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成30年条例第7号)

(施行期日)

1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。

(南三陸町安全・安心なまちづくり条例の一部改正に伴う経過措置)

4 第3条の規定による改正後の南三陸町安全・安心なまちづくり条例別表(出動報酬に係る部分に限る。)の規定は、この条例の施行の日以後に開始された安全・安心なまちづくりに関する職務に係る報酬及び費用弁償について適用し、この条例の施行の日前に開始された安全・安心なまちづくりに関する職務に係る報酬及び費用弁償については、なお従前の例による。

(令和4年条例第9号)

(施行期日)

1 この条例は、令和4年4月1日から施行する。

(南三陸町安全・安心なまちづくり条例の一部改正に伴う経過措置)

3 第2条の規定による改正後の南三陸町安全・安心なまちづくり条例別表(出動報酬に係る部分に限る。)の規定は、この条例の施行の日以後に開始された安全・安心なまちづくりに関する実地活動等に係る出動報酬について適用し、この条例の施行の日前に開始された安全・安心なまちづくりに関する実地活動等に係る出動報酬については、なお従前の例による。

別表(第20条、第21条関係)

報酬

費用弁償

(1回につき)

報酬区分

職又は種類

支給区分

支給額

職責報酬

主任指導員

1年につき

55,200円


副主任指導員

1年につき

44,700円


その他指導員

1年につき

36,600円


出動報酬

安全・安心なまちづくりに関する実地活動

1日につき

2,000円

1,000円

訓練又は研修の受講等

1日につき

2,000円

1,000円

指導員会議その他の会議

1日につき

1,000円

1,000円

備考

1 職責報酬は、新たに任用された者については任用した日の属する月から、死亡又は退職した者については死亡又は退職した日の属する月まで、それぞれ月割計算により支給する。

2 出動報酬の支給は、暦日による。

南三陸町安全・安心なまちづくり条例

平成26年9月17日 条例第21号

(令和4年4月1日施行)

体系情報
第3編 執行機関/第1章 長/第7節 災害対策
沿革情報
平成26年9月17日 条例第21号
平成30年3月13日 条例第7号
令和4年3月7日 条例第9号