草むらに置かれた石で、中央に大きく深い円形のくぼみがあり、そこに雨水がたまっている擦り臼を写した写真

 前の「叩き臼」は打撃によって鉱石を粉成(こな)す道具でしたが、こちらは擦り潰すことによって粉成す道具です。もともとは十枚山の下の入谷寺跡にあったものですが、いまはとある旧家の古墓にあります。もう何十年も昔の冬のことですが、「手水鉢代わりにちょうど良いな」と思ったある人が、「きんま(木馬)」=橇に乗っけて雪の上を引いて運び降ろしてきたのだそうです。擦り臼は、比較的早い段階で次に紹介する金挽き臼に取って代わられていることから、十枚山の歴史を考える上で非常に貴重な史料といえます。 【2005年6月17日撮影】