緑豊かな庭園の中に、屋根付きの香炉があり、奥の高台には白く輝く観音像が静かに立っており、その周囲には紫陽花が咲いている様子の写真

お盆休みに入った方も多いのではないでしょうか。
復興工事が進み震災の傷跡も薄れつつある南三陸ですが町にはいくつか、人々がひっそりと手を合わせるための場所が作られています。

緑豊かな庭園の中に、屋根付きの香炉があり、奥の高台には白く輝く観音像が静かに立っており、その周囲には紫陽花が咲いている様子の写真

志津川地区細浦 徳性寺(とくしょうじ)にあるのは動物たちを弔う慰霊碑です。

白い石造りの狛犬が左右に並び、その奥にある小さな石碑の横に花が供えられている写真

ここに眠るのはペットや家畜などの大切に育てられていた動物たち。
震災翌年の2012年、飼い主やボランティアさんたちの手で建てられました。
皆で集めた石を積み、中には三十数体のお骨が納められています。

小さな石碑の横に花が供えられ、下にはプランターの花や小さな石燈篭が置かれている写真

さらに奥へ歩くとまた大きな石碑が見えました。
ご住職の辻文生(つじ ぶんしょう)さんのお話ではこれは過去の災害の犠牲になった有縁・無縁の仏様を弔うもの。
東日本大震災の犠牲者のための碑も建てられています。

緑の草木の前に大きな石碑があり、左に小さなお地蔵様、右に新しい黒い石碑が立っている写真

ひときわ目を引く丸い塔『旭日五輪塔』は丸森町の若い石工の方の作品。
2012年 日本石塔展覧会(テーマ 「鎮魂・東日本大震災 石塔・石仏展覧会」)での優秀賞受賞作だそうです。

複数の石碑が立っている中に、白い石で作られた丸い供養塔が立っている写真

「ここにも津波が来たんだよ。」

ご住職が境内を案内してくださいました。
被災した本堂は既に取り壊され、庭木には当時流れてきたというロープが残っています。
お寺の宝、鎌倉時代から伝わるという板碑には刻まれた文字の跡をうっすらと確認することができました。

たくさんの緑の葉をつけた木の高い枝に白いロープがかかっている写真
草木の茂る中、古い板碑が4つ横並びに安置されている写真

白い大きな観音像は、ご住職のお母様が産婆さんをしていらしたことから幼くして亡くなった子どもたちの魂を慰めようと建てられたものだそうです。

緑が豊かな境内の石段の上に白く輝く観音像が静かに立っている写真

観音像の見つめる先には細浦の海。
境内はご住職が丹精込めて育てた木々と花々があふれていました。

住宅や田畑が広がる風景を見つめている緑に囲まれた高台に建つ観音像の後ろ姿の写真

(日比谷)

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