
現在、南三陸町では地方創生・官民連携推進室が中心となり人口減少が進む中、目指すべき将来の方向性と具体的な取り組みを定める『南三陸町総合戦略』の策定を進めています。
先日8月19日には町役場にて『南三陸町まち・ひと・しごと創生ワークショップ』が開催されました。

大会議室には町民のほか、町内就労者・移住希望者など30名近くが集まりました。
ワークショップは町の人口ビジョンの説明から始まりました。

「この町の人口は1950年代をピークに減る一方です。
出生数をみると2010年頃は年間100人前後でしたが2014年は62人でした。
2040年頃には二十数人になると思われます。」
生まれる数を亡くなる人の数が上回る“自然減”も問題ですが転入者を転出者の数が上回る“社会減”はさらに深刻。
統計開始以来、この町では一度も社会増減がプラスになったことがないそうです。
これまでも「人口減は避けられない」とは言われていましたがデータで示されると現状の厳しさがはっきりと分かります。
“出生率を上げた場合”“人口流出を抑えた場合”など改善策を取ったパターンでも、グラフは無情に右下がりを続けます。


「あらゆる手を尽くしても2060年の人口は現在の半分になります。
状況は非常に深刻です。
南三陸を持続可能な町にしていくため、皆様のご意見をいただきたい。」
パイプ椅子が半円型に並べ直され、ディスカッションが始まりました。

人口減は住民一人当たりの負担増に直結します。
公共サービスだけを例にとっても医療・福祉、子育て、交通などが成り立たない可能性があり、最悪の場合サービス自体が無くなってしまうこともありえます。
町を存続させ、少しでも暮らしやすくしていくためには何が必要なのでしょうか。
「仕事?」「住まい?」「教育?」「それも、町ならではの。」


危機的状況にある町と、そこで暮らすことを選んだ人々。
参加者たちの声には不安と希望が入り混じります。
ホワイトボードが真っ黒に埋まり、この日のワークショップはお開きとなりました。

長く続く町づくりのため、いま策定が急がれる『南三陸町総合戦略』。
人々の声はそこへどんな形で反映されるのでしょうか。
次回は第2回 南三陸町総合戦略推進会議の模様をお伝えします。
(日比谷)
