南三陸高校の生徒4人が教室で制服を着て座り、完成した「チーム南三陸BOOK」を手に笑顔で見せている写真

南三陸高校の情報ビジネス科1年生の生徒が商品のデザインを担当した「チーム南三陸ミネストローネ」が12月2日(土曜日)にさんさん商店街にて販売されました。商品開発のきっかけとなったツアーの話や参加した生徒の想いを取材しました。

夏に行われたツアーへの参加

今回取材するにあたり、南三陸高校へお邪魔しました。放課後に協力していただいたのは情報ビジネス科1年1組の生徒4名と担任の五十嵐先生。チーム南三陸ミネストローネが生まれるきっかけからお話を聴きました。

南三陸高校の生徒たちが教室で冊子やタブレットを囲み、南三陸ミネストローネの魅力をどう伝えるか話し合っている写真

放課後に協力してくれた情報ビジネス科の4名の生徒さんありがとうございました!

「8月3〜4日に志津川湾レンジャーツアーという県内の小学生を対象にしたツアーがあって、小学5〜6年生22名が町で海の勉強をする内容でした。私たちはツアーのサポート役として参加しました」
こちらは日本財団が開催した海と日本PROJECT inみやぎのオリジナルツアーで、南三陸町を学びのフィールドとした1泊2日のプログラムです。

色とりどりの帽子をかぶった子どもたちが室内で椅子に座り、前に立つ先生に手を挙げながら元気に参加している写真

海のビジターセンターで海について学ぶ小学生ら

「ツアー1日目は海のビジターセンターでの研修や座学、磯観察やシュノーケリングに参加し、サポートしながらも私たちも楽しく学ぶことが出来ました」「漁師さんから現場の問題についてお話を聞く時間もあって、実際に町の海で起きている現象なんだという理解にも繋がりました」

サポート役で入りつつも、自分たちの住む町の海がフィールドということもあって、授業やニュースで聞いたことのある海の問題が町のスケールだとよりリアルに感じられたそうです。

南三陸高校の生徒たちがウェットスーツとフィンを装着して海辺に集合し、笑顔でポーズをとっている写真

一緒にシュノーケリングも体験できました

港の岸壁で南三陸高校の生徒と漁師が並び、海について学ぶために座って話を聞く子どもたちの前で説明している写真

時には子どもたちの前に立ち、説明する場面も。

ミネストローネのきっかけとデザイン

ツアー2日目は磯焼けを学べるボードゲームと、未利用魚を使ったメニューの調理に参加。普段食卓では見ることのない魚に驚いたそうで「今回はトビウオなどを使いましたが、食べるのも捌くのも初めてでした!そうして捌いたのを佐藤将人シェフが作ってくれたスープに入れたんですけど、魚が入っているのは初めてでしたがとっても美味しかったですね」と当時の興奮度合いが伝わってきました。

子どもたちと高校生が円卓を囲んで資料を見ながら、ボードゲームを楽しんでいる様子の写真

磯焼けの仕組みや対策を考えることができるボードゲーム

シェフが鍋をかき混ぜながら、小学生に南三陸ミネストローネの調理工程を説明している写真

シェフのアドバイスをもらいつつ自分たちで作ります

そうなると、ここで作ったスープがチーム南三陸ミネストローネになったのか?と聞いてみたところ「いえ、実はそうではないんです」とあっさり一蹴。「でも、きっかけはありました」

屋外の養殖施設で高校生と子どもたちが水槽をのぞき込み、南三陸の海産物について学んでいる写真

ウニの陸上養殖の現場を見学する様子

このツアーの中で、磯焼け対策として増えすぎたウニを陸上養殖している株式会社ケーエスフーズさんを訪れ、それがチーム南三陸ミネストローネ誕生のきっかけになったとのこと。

「ツアーが終わった後、8月下旬からパッケージデザインとパンフレットの制作をすることになり、授業の時間を使ってクラスみんなで作りました」

高校生が教室の机でカラーペンやタブレットを使い、南三陸ミネストローネのキャラクターやイラストを描いている写真

パッケージ内のイラストとロゴは生徒考案

黒板の前で高校生がグループに分かれて座り、パンフレット制作に向けて企画や構成を話し合っている写真

パンフレットの内容を決めるために意見を出し合う

教室で一人の高校生が黒板の前に立ち、グループで考えたパンフレットの企画内容をクラス全体に発表している写真

どんな内容か、ポイントは何なのか、それぞれが考えたコンセプトを擦り合わせます。

「ビジネス基礎という授業の時間を使って生徒自身がデザインしました」

授業を担当する五十嵐先生の計らいもあり、イラストやロゴを制作することが出来ました。「あの時は楽しかったけど、テスト前で大変だったな〜」「このロゴ書いたのもうちのクラスの子なんですよ!」と楽しく誇らしげに紹介され、その時間がとても有意義なものだったことが伝わってきます。

チーム南三陸ミネストローネの1枚目のチラシ
チーム南三陸ミネストローネの2枚目のチラシ

そうして出来上がったのがこちらのパッケージ。俳句はツアーに参加した小学生らが書いたものの中から選び、計8作品の中から4作品ずつに分け、2パターンのパッケージとなりました。

それぞれの学びと想いが込められたチーム南三陸ミネストローネがいよいよ完成し、さんさん商店街での販売会の開催となりました。

完売御礼!大盛況となった販売会

屋外のイベント会場で、高校生が南三陸ミネストローネを来場者に提供しながら、地域の魅力を紹介している写真

実際に接客もした高校生たち

12月2日(土曜日)にさんさん商店街にて開催された販売会にも生徒たちは参加し、その時の様子を聞くと誰もが感慨深そうに「すごかったよね」と一言。「もうほんと、あっという間だったんです。販売用の100食と試食用のものもすぐに無くなっちゃって!追加でケーエスフーズさんから30食追加してもらったんですが、それもすぐに売り切れてしまって」「つまり完売でした。もうほんと来てくれた皆さんに感謝です」なんと、たった2〜3時間で用意していた分が完売したそうで、これには生徒も先生も驚きが隠せませんでした。

テントで、高校生が南三陸産の商品について来場者に説明し、来場者が瓶詰めの商品を手に取って確認している写真

訪れた観光客の方に自分たちの言葉で説明をします

その中で特に印象に残っていることはないか尋ねると声を合わせて「ツアーに参加した小学生が遠くから買いに来てくれたこと!」と即答。仙台方面から保護者と一緒に来てくれたそうで「4ヶ月ぶりの再会も、足を運んで買いに来てくれたことも嬉しかった」と思わず笑みがこぼれるエピソードがありました。他にもSNSでの告知を見た町内の方や地域みらい留学の受験のため南三陸高校に来ていた中学生も来てくれたとのことです。「先輩として少しでも高校の楽しさを伝えられたら嬉しいなと思います」とすでに来年の後輩たちに頼もしい背中を見せてくれていました。

会場で、パンフレットなどを手に持った高校生たちが笑顔で並び、南三陸ミネストローネのPRをしている写真

仙台圏から足を運んでくれた小学生たちとの一枚

ミネストローネの今後

大盛況に終わった販売会ですが、今後どのように関わっていくのか。生徒たちの本音は「学校や町のイベントで販売する機会があればぜひやりたいです。ただ売るだけでなく、参加した自分たちだからこそ伝えられるメッセージがあるとも思うので」と、これからも積極的に関わる意志が感じられるものでした。前のめりになって町のこと、町おこしを本気で考える生徒たちの活躍が、新年も楽しみになりました。

教室で制服姿の高校生たちが笑顔で座り、ボードゲームを囲んで地域について楽しく学ぶ活動をしている写真

やる気いっぱいの彼ら彼女らが後輩に見せる背中に注目です

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