海に浮かぶ岩と木製の柵を背景に、青と緑のサイクルジャージを着た参加者が笑顔でロードバイクをこぎながらツール・ド・東北のコースを走行している様子の写真

東日本大震災で被災した県沿岸部を自転車で巡る「ツール・ド・東北2023」が9月16日(土曜日)、17日(日曜日)に開催されました。コロナ禍以来4年ぶりとなる本格開催で南三陸町を縦断するコースも復活。町内3ヵ所に設置されたエイドステーションでは、南三陸町ならではの食でライダーをもてなしていました。

4年ぶりに南三陸縦断コースが復活した「ツール・ド・東北」

「ツール・ド・東北」とは全国的にサイクルツーリズムが広がりを見せている中で、東日本大震災後の2013年から宮城県石巻市をメイン会場に開催されているサイクリングイベントです。主催はYahoo!株式会社と河北新報社。「東日本大震災からの復興支援と、震災の記憶を未来に残していくこと。」を目的に開催しています。

オレンジと白のチームジャージを着た4人の参加者が、自転車のそばで笑顔を見せながら親指を立てたりポーズをとったりしている、ツール・ド・東北のスタートでの集合写真

例年2日間にわたり、最大9コースでの大会を開催していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2020年、2021年はリアルの大会を中止。「バーチャルライド」としてオンライン大会の開催となりました。昨年2022年は3年ぶりに小規模ながらリアルでの開催となりましたが、コースは2つのみ。石巻スタートで神割崎までのコースとなり、残念ながら南三陸町内を駆け抜けるライダーに出会うことはありませんでした。しかし2023年は2022年の2コースから5コースに増え、気仙沼往復のコースも復活。南三陸町内を縦断するライダーの姿も4年ぶりに復活し、参加者も2日間合計で2000名以上が参加するなど従来の盛り上がりを取り戻していることを感じられました。

白いスタッフTシャツを着た誘導員が腕を広げて参加者を案内し、複数のサイクリストが自転車にまたがって動き出している、ツール・ド・東北の運営と参加風景の写真

ボランティアスタッフも全国から集まり、多くの人の支えによりイベントが運営されていました

「ツール・ド・東北」の魅力はやっぱり「食」

「ツール・ド・東北」の最大の魅力は、コース沿いに設定されているエイドステーション(休憩所)で提供される三陸沿岸の恵みを生かした食事の数々です。南三陸町内には「神割崎」「ホテル観洋」「歌津」の3ヵ所に設置。神割崎以外のエイドステーションは4年ぶりということもあり、多くのライダーがこの日を待ち望んでいたことでしょう。

サイクルジャージを着た参加者が、エイドステーションのテントで笑顔のボランティアスタッフから鮭わかめごはんを受け取っている、ツール・ド・東北の補給所での給食提供の様子の写真
透明なカップに盛り付けられた鮭のフレークとわかめが入ったごはんが整然と並べられ、上には使い捨てフォークが添えられている、ツール・ド・東北の補給食として提供された鮭わかめごはんの写真

多くのライダーが立ち寄る神割崎エイドステーションでは、三陸産わかめご飯の上に南三陸の海が育んだ名産の銀鮭フレークをトッピングした「鮭わかめごはん」が提供されました。優しい味わいのごはんで疲れた身体も思わずホッとするようなごはんに舌鼓をうっていました。

白い仕切り付き容器に盛られた揚げ物がのった具だくさんのカレーライスと福神漬けが並び、ツール・ド・東北の参加者に提供された温かい昼食の一例を示す写真

お昼ごろに到着するコースのライダーには、同じく南三陸産の銀鮭をサクッと揚げて特性のカツにした「サーモンカツカレー」を提供。

神割崎のエイドで休憩をしていた東京から来て仲間で参加しているという皆さんに話を伺いました。全国の自転車イベントに参加していますが「ツール・ド・東北の魅力はなんといってもエイドのごはんのおいしさです!これが楽しみでやめられません。」と話してくれました。また、何度もツール・ド・東北に参加していただきながらその道中で復興への想いにも気持ちを馳せているそう。

4人の男性サイクリストが自転車ウェアとヘルメットを着用し、ベンチに座って休憩しながらカメラに向かって親指を立てたり微笑んだりしている様子の写真

「今回初めて参加した仲間もいるので、ここに来るまでの間で石巻市の大川小学校にも少し立ち寄らせていただきました。それぞれ考えることが多くあったようです。」と話します。

また、神奈川県から久しぶりに参加したという参加者は「記憶にある道から大きく変化していたり、復興の流れを感じられます。これから走る南三陸の道中もどんな変化があったのか楽しみながら走っていきたいです。」と話していました。

海を背景にした道路を赤いロードバイクで走行中の男性サイクリストが、片手で親指を立てて笑顔を見せている様子の写真
三陸復興国立公園の神割崎の石碑前で、青いサイクルジャージを着た男性サイクリストが自転車を立てかけてカメラに向かって親指を立てている様子の写真

コース沿いのスポットにも立ち寄りながら自分のペースで走ることができるのも魅力のひとつ

ライダーにとっても楽しいと好評の山あり海ありの南三陸のコース

自転車レースに参加している選手が、給食テントでスタッフから食事を受け取っている様子の写真

「お疲れ様ですー!」

「カレー食べてゆっくり休んでいってね」

とお母さんたちのひときわ元気な声が響き渡るのが、ハマーレ歌津商店街の横にある宮城県漁協歌津支所に設置された歌津エイドステーション。

白いご飯と野菜入りのホタテカレーの写真

「応縁飯」としても非常に人気の高い「ホタテカレー」が4年ぶりに復活とあって、この味わいを楽しみにしてきたライダーも多いそう。ボイルしたホタテが豪快にカレーに乗っていて思わず手にした皆さんも写真に収めるほど豪快な一品です。

緑に囲まれた坂道を一生懸命に登るサイクリストの写真

「神割崎から歌津までのコースは山あり、海ありで走っていてツール・ド・東北のなかでも特に楽しいコースです。アップダウンも多いので身体にはこたえますけど…(笑)。このへん(歌津)もだいぶ町並みが変わりましたね」とお話してくれたのは4回目の参加となるライダーさん。「おいしいカレー食べて、もうひとっ走り楽しんできたいと思います!」とエイドステーションで英気を養って、再びペダルを漕ぎ始めます。

休憩所のテントの下で、サイクリング中の男性4人がユニフォーム姿のままベンチに座り、笑顔で食事を楽しんでいる様子の写真と

注目を集めるサイクルツーリズムをどのように地域で展開するか

イベント収益の一部は「ツール・ド・東北基金」として積み立てられています。積み立てられた基金は、自転車を活用した東北地方の観光振興やサイクリングロードの整備など復興活動の助成金として活用されています。

海沿いの道路を、ピンク色のユニフォームを着たサイクリストが一人で自転車に乗って走行している様子の写真

健康で、エコな「マイクロツーリズム」が注目される今、「サイクルツーリズム」は地域戦略としても非常に重要な位置づけとして語られることが多くなっています。南三陸町においても志津川地区のグランドデザインが完成し、さんさん商店街、復興祈念公園、うみべの広場、サンオーレそではまと周遊性のある町が完成。

「ツール・ド・東北」が10年間継続して自転車イベントを開催してきたことで、町民にも徐々に自転車文化が浸透。この経験を経て、今後の南三陸町での展開や活用に期待します。

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