金属トレイの上に開かれた牡蠣が二つ置かれている新聞紙の上で、軍手をつけた人が手に持った殻付きの牡蠣を開けて中の大きな身を見せている様子をアップで撮影した写真

井口さんが見本に剥いた牡蠣はこんなに立派! 思わず歓声が上がった

南三陸町移住・定住支援センターが企画・実施する、移住者が先生となって移住体験を伝える「RivaRivaみなみさんりく学園」。その3回目が2022年2月26日に開催され、井口雅子さんが殻付き牡蠣の剥き方を教えてくれました。

移住者先生・井口雅子さんによる、南三陸の牡蠣のお話。

移住者が先生となって移住の実体験を伝え、参加者と交流する企画「RivaRivaみなみさんりく学園 ~移住者に〇〇教わってみた~」。第3回は「今が旬!! 自宅で牡蠣剥き体験」と題して、2017年に南三陸町に移住した井口雅子さんが先生となって行われました。井口さんは、南三陸町のおいしい海産物を扱う「たみこの海パック」に勤めています。イベント用の殻付き牡蠣も、たみこの海パックのもの。イベント前日に、立派な殻付き牡蠣と剥き身牡蠣が自宅に届きました。

新聞紙か敷かれたテーブルの上に置かれた、透明のビニール袋に詰められいる沢山の殻付き牡蠣の写真

南三陸町戸倉地区から直送された、新鮮な生食用牡蠣

青い花柄のテーブルクロスに、左側に中身が見える透明袋のパッケージに入った牡蠣の加工品が置かれ、右側には軍手と牡蠣ナイフ、案内用のパンフレットが透明の袋にまとめられている写真

殻剥き用のナイフと軍手も同封されていた。「南三陸戸倉っこかき」は、持続可能な養殖業に与えられる「ASC認証」を国内で初めて取得したブランド牡蠣

イベントは朝10時スタート。まず南三陸町移住・定住支援センターの及川希さんが南三陸町の概要・特徴を紹介。続いて井口さんの紹介がありました。井口さんは東京出身で、東日本大震災後に漁業支援ボランティアで南三陸町へ。何度か通ううちに南三陸の海と海産物に魅了され、漁業の六次産業化に携わりたいと、2017年に移住しました。

「実は牡蠣が苦手だったんですよ(笑)」と告白する井口さん。「でも、東京で食べたものとは違って、南三陸の牡蠣はほんとうにおいしくて…。今ではすっかり好きになりました」とのことです。

スクリーンが下ろされた後ろの窓からは明るい光が差し込んでいる木の内装の部屋の中で、マスクをつけた二人の女性が座って話している様子の写真

移住者先生の井口雅子さん(画面左)と、進行を務める南三陸町移住・定住支援センターの及川希さん(画面右)

「森・里・海・ひとのいのちめぐるまち」と書かれ、森ではガイド付きの見学、里では農業をする男性、海では牡蠣の養殖をする男性たちの活動をそれぞれ紹介している画像

続いて、井口さんは南三陸の牡蠣について紙芝居で説明してくれました。東日本大震災前の志津川湾の牡蠣養殖は、いかだが過密状態で、牡蠣の生育も悪く、出荷までに時間がかかるという状況でした。しかし、津波ですべて流されてしまったことをきっかけに、戸倉地区の漁師たちは話し合いを重ねて養殖いかだ数を3分の1に減らすことを決断。生産量を減らしたことで牡蠣がのびのびと育ち、身が大きくおいしい牡蠣ができるように。出荷までの期間も従来の2~3年から1年に短縮されました。

そして2016年に、戸倉地区の牡蠣は国内で初めて「ASC認証」を取得。さらに、いかだ数が減ったことで漁師たちの労働時間が減り、暮らしにゆとりが生まれました。労働環境が改善されたことで、若い漁師も増えているそうです。

水色の服を着た女性が「日本で初ASC認証 2016年37軒」と書かれ、喜んでいる沢山の人のイラスト付きの手描きの紙芝居を持って笑顔で話している写真
水色の服を着た女性が、後継者不足から「震災後 後継者が増えた」と書かれ、高齢の漁師の後継者不足と、それに対し若い世代がやりがいを持って増えてきたことを伝えるイラスト付きの手描きの紙芝居を持って笑顔で話している写真

手づくりの紙芝居で、井口さんは戸倉地区の牡蠣養殖についてわかりやすく説明してくれた

牡蠣剥きに挑戦し、豊かな海の恵みをじっくり味わう。

さぁいよいよ牡蠣剥き体験! まず井口さんが見本を見せてくれました。「殻の隙間にナイフを入れて、貝柱を切って…」とデモンストレーション。さすが先生、鮮やかなナイフ使いで、手際よく殻を開けて牡蠣を剝いていきます。

金属トレイの上に開かれた牡蠣が二つ置かれている新聞紙の上で、軍手をつけた人が手に持った殻付きの牡蠣を開けて中の大きな身を見せている様子をアップで撮影した写真

井口さんが見本に剥いた牡蠣はこんなに立派! 思わず歓声が上がった

見本を見せてもらったら、次は参加者の番です。画面越しに井口さんからアドバイスをいただきつつ、牡蠣剥きに挑戦!

パソコンにZoomで牡蠣剥きの様子が映っており、新聞紙が敷かれた手前のテーブルには、牡蠣の殻、ナイフ、そして牡蠣が入った黄色いボウルがある写真

テーブルが汚れないように新聞紙を敷き、軍手をはめてスタンバイ

ステンレスのボウルや新聞紙が広げられているテーブルの上で、軍手をはめた手でナイフを使って牡蠣の殻をむいている男性の写真

慎重にナイフを入れて、貝柱の位置を探る

殻を開いた新鮮な牡蠣が新聞紙の上に置かれ、横に牡蠣ナイフも置かれている様子の写真

思いのほか簡単に殻を開けられてホッ。プリっとした牡蠣に惚れ惚れする

約20分間の牡蠣剥き中、井口さん・及川さんは、牡蠣剝きがうまくいっているか、困ったことはないか、参加者の様子をきめ細かく確認。「どうですかー?」と声をかけてくれたり、参加者がコメントしたりと、やり取りを楽しみながらの時間となりました。

休憩後はお待ちかねの試食タイム! まずは何もつけずにそのままいただきました。牡蠣の旨みが口いっぱいに広がり、南三陸の海を感じます。こんなにおいしい牡蠣を食べるのはいつぶりでしょう…? 次はレモンを絞って、さらにポン酢でと、食べ比べ。いくつでも食べられそうです。「牡蠣を生で食べるのは初めて」というお子さんも。おすすめの食べ方について井口さんは、「生はもちろんのこと、殻ごと蒸すのもいいですよ」と教えてくれました。

新聞紙が敷かれたテーブルの上で、チェックのシャツと白いカーディガンを着た男性が、開けた牡蠣の身を皿に移している様子の写真

剥きたての牡蠣を自宅で味わうという贅沢な体験。自分で剥いた牡蠣の味は格別だ

試食タイム中、井口さんは持続可能な漁業についても話をしました。震災前と現在の牡蠣漁場を比べると、違いが明らかです。よい環境でのびのびと育った牡蠣だからこそ、こんなにおいしいんだなぁと実感しました。

海全体にびっしりと養殖用のブイが浮かぶ、小さな島を背景に、山や麓の建物を背景に、白い漁船が作業をしている戸倉牡蠣漁場の震災前の密植状態の3枚の写真が映し出されたスライドの写真
海の環境と良質な牡蠣づくりに配慮した漁場改革。の文字と、ブイの間隔を約40メートルに広げ、整然とした配置に改善された戸倉牡蠣漁場の現在の様子を上空から撮影した写真

震災前と現在の牡蠣漁場の様子を示したスライド。変化がよくわかる

試食が落ち着いたところで、質疑応答・感想共有の時間。「牡蠣の洗い方のコツは何でしょうか?」という参加者からの質問に、井口さんは「塩を振って洗うと雑味が少なくなります。洗いすぎてしまうと旨みが逃げるので、水で流すのは2回程度がおすすめ」と答えました。

参加者からは、「牡蠣がとってもおいしかったです。南三陸にはまだ行ったことがありませんが、今日参加して興味がわきました」「震災後の漁業の復興については知らなかったので、話を聞けてよかったです」などのコメントがありました。

最後に井口さんは、「南三陸町の人々は、私のように外から来る人や新しいことに対して寛大です。寒いのは苦手なんですが(笑)、移住してよかったと思っています。みなさん、次はぜひ現地に来てくださいね!」とコメント。イベント終了後も、放課後タイムとして井口さんとお話しする時間が設けられ、参加メンバーは交流を楽しみました。

白と水色の縁取りの皿の上に殻付きの生牡蠣が2つとレモンのくし切りが添えられている写真

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