体育館のような室内で、色鮮やかな和太鼓を持った若い男女8人が正座や膝立ちで並び、後ろには獅子頭と白い角を持つ伝統的な衣装を持った男性2人が立ち、全員が笑顔でカメラに向かってポーズをとっている写真

9月22日、宮城県志津川自然の家で郷土芸能である「行山流水戸辺鹿子躍」のモニター体験プログラムが行われました。県内在住の台湾人6名が参加。今後、国際教育旅行団体を中心に南三陸の文化を伝えるプログラムとして整備していくことを目指しています。

国際交流がストップ。再開を目指して受入れ体制整備

例年、多くの旅行団体が南三陸町を訪れていますが、今年は新型コロナウイルスの影響により交流事業がストップ。南三陸町観光協会では、受入れ体制の整備と今後のプログラム強化のため、9月21日から2泊3日で「南三陸モニターツアー」を実施しました。参加者は、県内に留学や就学をしている台湾人6名が参加。そば打ち体験や震災復興祈念公園の見学、スノーケリング体験、ふりかけ作りを町内で体験しました。その2日目(9月22日)の午前中に、宮城県志津川自然の家で行われたプログラムが「行山流水戸辺鹿子躍」の体験プログラムでした。

体育館の観客席に間隔をあけて座ったマスク姿の男女が、床に立つ村岡賢一保存会長から説明を受けている様子で、さらに上段には数名が離れて座って話を聞いている写真

行山流水戸辺鹿子躍について話す村岡賢一保存会長と説明を聞く参加者

初めての体験に苦戦しながらも…

約2時間の体験プログラムでは、初めに行山流水戸辺鹿子躍保存会会長である村岡賢一さんから、鹿子躍の歴史や躍りの意味について説明がありました。「震災で道具は流失したものの、瓦礫の中から奇跡的に見つかった。子ども達の後押しもあり、震災から復活することができた」と震災からの復活について村岡さんは話します。

体育館の中でマスクを着けた村岡会長が両手を少し上げて説明をし、その横で陳忠慶さんが冊子を手にして耳を傾けている写真

難しい言葉も多いため台湾語に、翻訳して説明を伝える南三陸町観光協会 陳忠慶さん(写真右)

説明後、高校生や20代を中心とした若手で構成されたメンバーによる演舞披露が行われました。力強い太鼓の音、迫力ある躍りに参加者は驚きつつ、初めて見る郷土芸能に見入っていました。

マスクをつけた参加者たちが室内の観客席に座り、前方を見つめている様子の写真
体育館のような室内で、カラフルな衣装と鬼のような面をつけた二人の舞い手が太鼓を叩きながら伝統的な踊りを披露しており、階段状の観客席にはマスクを着けた参加者たちが静かに見守っている写真

その後の体験では、実際に演舞で使用した太鼓を身につけ、口唱歌と呼ばれる太鼓の打ち方を表す言葉を口ずさみながら練習していきました。参加者のほとんどが初めて触るという太鼓、聞きなれない口唱歌に戸惑いつつも、プログラムを終える頃には綺麗に太鼓の音色を揃えていました。

体育館の中で若者たちがマスクを着けた状態で並び、和太鼓の前に立って村岡会長からバチの持ち方や叩き方の指導を受けている様子の写真
腰に太鼓をつけ、両手にバチを持って立っている4人の参加者たちの前で、太鼓を腰に付けた村岡会長が太鼓のたたき方の見本を見せている様子の写真

伝承活動への想いと共に、南三陸の文化を感じて欲しい

「太鼓の大きく響く音にびっくりした。初めて叩いた太鼓は、叩く力の加減が難しい」と仙台市で働く砂・佳玲(サ・カレイ)さんは話します。また仙台で大学に通っている宋・宛憶(ソウ・エンオク)さんは、大学の講義で岩手県のさんさ踊りを体験。授業でも日本の文化に触れているが「口唱歌がさんさ踊りと違い、難しかった。太鼓だけでなく、躍りに激しい動きもあって大変そう」と話していました。

体育館の中で若者たちが横一列に並び、村岡会長に対して丁寧にお辞儀をして感謝の気持ちを表している様子の写真

水戸辺鹿子躍保存会としては、今回が初めての試みとなった体験プログラム。長年、子ども達へ指導をしてきた村岡さんは「教えるのは容易だが、言葉の壁があると難しさを感じるかもしれない。それでも要望があれば、保存会としてやっていきたい」と話していました。

今回のモニターツアーと郷土芸能の体験プログラムを企画した南三陸町観光協会 陳忠慶さんは「伝承の想いを感じつつ、体験を通して日本や南三陸の文化を知るきっかけになり、更なる魅力に繋がれば良い」と話します。初めての体験プログラムで、課題も見えてきたと話していた陳さん。今後の新たな体験プログラムとして、整備されていくことに期待が高まります。

体育館の中で「水戸邊鹿子躍」と書かれた青い旗の前で、華やかな装飾と角のついた鬼の面をかぶった舞い手たちが太鼓を打ちながら迫力ある伝統舞踊を披露している写真

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