古民家が立ち並ぶ細い通路に設置された販売ブースで、赤いニット帽を被った女性がビニール袋に入ったワカメを購入している様子の写真

2019年3月30・31日に、東京・上野で「三陸ワカメまつり2019」が開催されました。今年で4回目となるイベントで、南三陸町で活動するNPO法人「ウィメンズアイ」と「さとうみファーム」が共催。多くの人でにぎわいました。

生わかめ、パン、手仕事の品々… 南三陸の逸品が集合!

「三陸ワカメまつり2019」の会場は、日暮里の谷中霊園近くにある「上野桜木あたり」。1938年築の日本家屋をリノベーションしたショップ&レンタルスペースの複合施設です。1日目午前中に訪れると、続々と来場者が。「路地のマルシェ」や「食べる・飲む 美味しいコーナー」をめぐり、思い思いに楽しんでいました。

和風の建物が並ぶ通りの一角にある「三陸ワカメまつり」と書かれた看板が設置された会場入り口で、何人かの来場者が白いテントの脇の通りに入っていく様子が写されている様子の写真

会場の「上野桜木あたり」の入り口には、「三陸ワカメまつり」と「南三陸応縁団」の「のぼり」も

会場入り口から通路沿いにブースが設けられた「路地のマルシェ」には、南三陸産の海産物やパン、藍染めグッズ、羊毛グッズなどが並びました。来場者は各ブースで足を止めて、塩蔵わかめを購入したり、藍染めグッズを手に取ったりと、出店者との会話も楽しみながら買い物をしていました。

赤いチェック柄のテーブルクロスの上に加工食品や小物が並び、名札をつけた出店者たちが笑顔で来場者を迎えている販売ブースの写真

入り口すぐには、「たみこの海パック」の海産物や「南三陸おふくろの味研究会」の缶詰などが並んだ 写真提供:ウィメンズアイ

焼き立てのパンが並ぶブースで、マスクをした男性スタッフが商品が入った袋を女性客に渡そうとしており、女性スタッフがお釣りを準備している写真

入谷の「パン菓子工房oui」のパンは大人気で、飛ぶように売れていった

藍染めされた青いストールを巻いた女性スタッフが、藍染めの布を販売しながら笑顔で接客し、買い物客の女性が商品を手に取っている藍染製品のブースの写真

「でんでんむしカンパニー」のブースでは、南三陸町から駆けつけた中村未來さんが藍染めグッズや藍のお茶を販売 写真提供:ウィメンズアイ

編み物や帽子などの手工芸品が並ぶ屋台で、男性の出店者が笑顔で年配の女性に対応している手作り品の販売風景の写真

「さとうみファーム」のブースには、帽子や織物、ブローチ、ポーチなどの羊毛グッズが 写真提供:ウィメンズアイ

小さな女の子が糸車に興味を持って回そうとしており、店番の若い女性が微笑みながらその様子を見ている糸つむぎ体験のブースの写真

「さとうみファーム」ブース横には糸紡ぎ体験ができるコーナーが設けられ、子どもたちに人気だった 写真提供:ウィメンズアイ

奥の座敷にはわかめおにぎりや蒸し牡蠣を東北の日本酒とともに味わったり、わかめしゃぶしゃぶを楽しんだりできるイートインのスペースが。来場者は、くつろぎながら南三陸の旬の味を堪能していました。

3人の来場者たちが湯気の立つ大きな鍋で、生わかめをしゃぶしゃぶしている様子が写された写真

2~4月にしか食べられない南三陸の旬の味、生わかめのしゃぶしゃぶ。お湯にくぐらせるとわかめが鮮やかな緑色に変わる様子に、感嘆の声が上がることも 写真提供:ウィメンズアイ

町民によるお話会で、南三陸のストーリーを伝える。

今年のワカメまつりの目玉企画は、南三陸町民をゲストに迎えてのお話会。

「南三陸応縁団」団員主催イベントへの町民派遣制度によって実現しました。1日目は、上山八幡宮の禰宜・工藤真弓さんが、住民が主役となる復興のストーリーを伝えました。立ち見が出るほどの盛況で、50年かけて育つ椿の種を拾い、椿の花が咲く避難路をつくろうというビジョンに込められた、世代を超えてつながり続けることこそが防災という視点にはっとさせられる人も多かったようです。

ちゃぶ台に椿の種が置かれた室内で、工藤さんが紙を見せながら復興のストーリーを伝えており、参加者たちが真剣に話を聞きながら資料に目を通しているお話会の写真

椿をモチーフとした復興のストーリー「南三陸椿ものがたり」について話をする工藤真弓さん(左) 写真提供:ウィメンズアイ

木箱の中に包装された椿製品が整然と並べられ、それぞれに「椿油」「椿のブローチ」「椿のはがき」などと手書きで書かれた値札がついている特産品展示の写真

「南三陸椿ものがたり」にちなんだ、椿をモチーフとしたグッズや椿油なども「路地のマルシェ」に登場 写真提供:ウィメンズアイ

2日目のお話会では、南三陸町に移住した中村未來さんが、古民家再生と無農薬の藍の栽培・商品開発の取り組みについて話をしました。参加者のなかには、「染色を学ぶ学生を連れて訪問したい」「古民家改修ワークショップに参加したい」という人も。イベントを企画した「ウィメンズアイ」の塩本美紀さんは、「南三陸町の方に会って直接話をしてもらうことで、より深く伝わるものがあると思います。南三陸町の“今”を知ってもらえたのではないでしょうか」と手ごたえを感じていました。

室内の襖の前で、青いスカーフを巻いた女性が身振り手振りで話し、隣でボーダーシャツの女性がメモを取りながら聞いているお話会の様子の写真

熱心に語る中村さん(左)と、企画者の「ウィメンズアイ」塩本さん(右) 写真提供:ウィメンズアイ

また、2日目には「南三陸町移住支援センター」の國枝万里さんがやって来て、移住相談にあたりました。これは昨年度からはじめた取り組みです。

古民家の中では数人が座ってくつろいでおり、木製の床の上で笑顔で立っているベージュの服を着た女性が来場者と話している写真

「南三陸町移住支援センター」の國枝万里さん(写真中央) 写真提供:ウィメンズアイ

イベントは、つながりを生み、防災を意識するための場。

盛況に終わったワカメまつりを、「ウィメンズアイ」の塩本さんは次のように振り返ります。

「他団体との共催は初めてでしたが、連携すると相乗効果を上げることができ、とてもよかったです。被災した地域ですばらしい取り組みが形になってきたので、そのことを少しでも知ってもらえたのではないかと思います」

ワカメまつりでは、イベント自体が盛況になることではなく、イベントを通してつながりが生まれること、風を起こすことを目指しているそうです。また、いつ・どこで災害が起こるかわからないので、災害を忘れず防災を意識するために、毎年3月にイベントをやることが大事だと考えています。

「三陸ワカメまつり」と書かれている旗が立つ茶色い外壁の家の前で、デニムジャケットを着た女性が貝殻などを並べた机の前に立ち女性客と話している写真

東日本大震災を、災害を、“忘れないため”、というのもワカメまつりの目的 写真提供:ウィメンズアイ

「規模や場所にこだわらず、これからも細く・長く続けていけるようにがんばります!」と塩本さんは意気込みを語りました。来年はどんなワカメまつりになるのか、楽しみです!

段ボールを細長く切った札に値段と内容量が書かれ、黒いワカメが詰まった多数のビニール袋が無造作に積まれているワカメ販売の写真

「三陸ワカメまつり」の名物、極上の塩蔵わかめ 写真提供:ウィメンズアイ

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