絵や写真などが飾られた壁際に置かれたピアノの前でエプロンを着た高橋しのさんが笑顔でカメラに向かって立っている写真

子どもが放課後を安心して過ごせる場、学童保育施設。南三陸町では、志津川地区と歌津地区に「放課後児童クラブ」があります。どんなところなのでしょうか?南三陸町保育福祉課の高橋しのさんにも話を聞きました。

子どもたちがのびのびと過ごす場所

7月のある土曜日、志津川地区放課後児童クラブを訪ねました。拠点は、志津川小学校の敷地内に建つ「みんなの児童館」。定員いっぱいの24名の児童が通っていますが、土曜日は希望者のみということで、来ていたのは7名。本を読んだり、絵を描いたり、おしゃべりしたりと、みんな思い思いに楽しんでいます。

小学生の男女2人が黄色いマットの上に座りながらそれぞれ読書を楽しんでいる写真

夢中になって本を読む子どもたち

その日は、七夕の飾り付けをみんなで行いました。願い事を書いた短冊や飾りを笹に結び付け、カラフルな七夕飾りのでき上がり。子どもたちは仕上がりに満足そうな顔つきでした。

黄色い棚が設置された室内で、笹の枝に短冊を飾りつけている2人の男の子と、それを手伝う高橋さんの写真

真剣な顔つきで笹の飾り付けをする子どもたち

「みんな放課後児童クラブが好きで、楽しく通ってくれています。学年が上の子が、下の子の面倒を見てくれて助かりますね。室内は決して広くはありませんが、外のスペースも活用するなどして、子どもたちがのびのび過ごせるように工夫しています」とスタッフの高橋しのさんは話します。

夏休みはさらに楽しいことがたくさん!

土曜日と小学校が休みの間、放課後児童クラブは午前8時に開館します。夏休みの場合、午前中は学校のプールへ。昼食後は、昼寝をしたり外で遊んだりします。志津川地区放課後児童クラブでは、小学校の花壇で育てた野菜を収穫して食べたり、町の保健福祉課(健康増進係)と協力して「学童クッキング」を行ったりもしています。

また今年は、志津川・歌津それぞれの放課後児童クラブで夏祭りを開催。8月8日に志津川地区放課後児童クラブで行われた夏祭りでは、子どもたちが自ら出店する「○○屋さん」を考えました。グループを作って、お面屋さん、的当て屋さん、アクセサリー屋さん、カード屋さん、ヨーヨー屋さんを出店。何を並べるか、看板やディスプレイはどうするか、グループごとにアイデアを出し合って準備を進めました。

そして当日。朝から出店準備をして、11時前に夏祭りがスタート。「いらっしゃいませー」「どうぞ来てください!」と、呼び込みの声が飛び交います。それぞれのお店には、夢中になって遊んだり真剣な顔で品定めをしたりする子どもたちの姿が。子どもたちは交代で店番をしながら、順番にお店を回りました。後半には先生たちが用意したポップコーンやジュース、アイスなども登場。子どもたちは、楽しむだけでなく、自分たちで企画して準備をしたことで達成感を味わったようでした。

1人の女の子が「夏まつり」と書かれた壁飾りの下に貼った的をめがけて的当てをしており、その周りで複数の子どもたちが順番待ちをしている様子の写真

的当て屋さんで真剣に的を狙う子どもたち

色とりどりの色画用紙で作られた提灯が天井から吊るされた明るい室内で、たくさんの子どもたちが机を囲んでお菓子を食べたり会話を楽しんでいる写真

すべてのお店を回って、おやつを食べながら休憩。子どもたちは大満喫した様子

保護者・学校と協力して子どもを見守る

「学童は学校とは違って、いろいろな学年の子どもが一緒に過ごします。それによってさまざまなトラブルが起こることも…。何かあったときには、結果だけでなく過程を含めて、保護者の方にきちんと伝えるようにしています」と高橋さんは話します。

そのために重要なのが、話しやすい環境づくりだといいます。「保護者の方と直接コミュニケーションが取れるのは、お迎えにいらっしゃる際の数分間だけですが、その日やったことを伝えたり、学校でのお子さんの様子を尋ねたりと、できるだけ色々な話をします。たとえ短い時間でも、毎日積み重ねることによって、きめ細かなやり取りにつながっていると思います」と高橋さん。

また、小学校の担任の先生ともコミュニケーションを深めていきたいと考えています。「子どもたちの学校での様子も知っておきたいので、毎月おたよりと行事予定を学校に渡しに行く際に、できるだけ話をするようにしています」。放課後児童クラブでは、学校や保護者と密なやり取りをし、協力しながら子どもを見守っているのです。

エプロンを着た高橋さんが真剣な表情で話をしている写真

志津川・歌津の放課後児童クラブだけでなく、子育て支援センターでも勤務している高橋さん

保育の充実化と“つながり”の支援を目指して

東日本大震災後、仮設で再開した放課後児童クラブ。徐々に利用希望者が増え、2015年度からは小学1年生から6年生までが通えるようになりました。今年度、志津川地区は定員の24名、歌津地区は17名が在籍しています。どちらの放課後児童クラブも、新しい場所への移設を検討中。「なるべく震災前の放課後児童クラブに近い環境、子どもたちにとってよい環境を整えたいと思っています」と高橋さんは話します。

「みんなの児童館」の看板が設置された、オレンジ色の屋根と黄色と白の配色の壁のコンテナハウスに前に木製のベンチがある写真

志津川地区放課後児童クラブは、Tポイントの寄付で建てられた「みんなの児童館」内にある

「指導員を増やすことで、学童保育の内容を充実させていきたい」と語る高橋さん。「私自身、子育て支援センターや放課後児童クラブなど、いくつかの施設を掛け持ちしているので、実施したい保育内容が実現できていない状態です。それを解消するために、人員を確保してもらいたいですね。そのためにも、この仕事のやりがいや楽しさを多くの人に伝えていくことが大事だと考えています」。

一方で、複数の施設を行き来することで、さまざまな面から子育て支援に関わることができるメリットも感じているそうです。「子育ては切れ目があるわけではないので、つながりをもって色々な支援ができるのはよい点だと思っています。私のような“つなぎ役”を増やし、子育て支援センターと放課後児童クラブ、また保育所等の保育関係機関がうまく連携して、情報共有できるような仕組みを整えていきたいですね」」と高橋さんは話します。

放課後児童クラブに来てけさいん!

保育に情熱を注ぎ、誇りを持って仕事をする高橋さん。切れ目のない子育て支援とよりよい保育を実現するため、「さまざまな現場を見ている人間として、親御さんの声をしっかり聞いて、それを行政に届けていきます」と抱負を語ってくれました。

「指導員でなくても、子どもと一緒に遊びたい人は大歓迎」とのこと。子どもや保育に興味のある人、放課後児童クラブがどんなところか知りたい人は、気軽に覗いてみてはどうでしょう?

七夕飾りがされた笹の枝の下で、前列の5人が長椅子に座り、後ろの2人が立っている集合写真

元気いっぱいの子どもたちに会いに行ってみませんか?

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