青いオーバーオールとベージュの帽子をかぶりながら釣り竿を持つ父親と、隣にいる黒い帽子とオレンジのライフジャケットを着た芳雅くんが一緒に釣りをしている様子を船の上で写した写真

古くより森里川海のつながりの中で生きてきた南三陸の人々。その中で代々受け継がれてきた産業、なりわい、そして人々の暮らし。このまちは、祖父母、そして父母の姿は、子どもたちの目にどのように映しだされているのだろう。子どもたちから見た南三陸の世界を描いて行きます。

海で育ち、海で遊ぶ

今回は歌津地区泊浜の漁師、高芳丸船長の高橋芳喜さんの長男、高橋芳雅(よしつね)くんのところにお邪魔してきました。

学校が休みの日曜日朝7時。芳雅くんと一緒に、父芳喜さんの船に乗せていただきました。目的は大好きな釣り。

天気は快晴、波も穏やか。とても気持ちのよい朝でした。

船に揺られて15分。到着した場所で、芳喜さんがなにやらロープを上げ始めました。ロープの先には、ぎゅうぎゅうにひしめきあう、大きなホヤ。4年ものの自慢のホヤは手のこぶしよりも大きく、プリプリでした。

青い作業着を着た父親とオレンジのライフジャケットを着た芳雅くんが船の上でロープにぶら下がった赤やオレンジ色のホヤを引き上げて見ている様子の写真
海の上でロープに密集して付いている多数の赤くゴツゴツしたホヤが水を滴らせながら引き上げられている様子をアップで撮影した写真
青いゴム手袋をした人が、ロープに密集して育った赤とオレンジのホヤに触っている手元をアップで撮影した写真

「触っても平気?」「触って見たい!」

ロープの先に着いたホヤを恐る恐る触る芳雅くん。

ホヤのロープからとったのは、『エラコ』

今回はこれを釣りの餌にするそうだ。

「ホヤ上げすると水がかき混ぜられて、魚がよく釣れるようになる」

芳喜さんの話を「なるほど」と思いながら聞く。

ホヤをあげたら早速釣りを開始。餌をつけてもらい、いざスタート。手慣れた手つきで、リードを海に垂らしていく芳雅くん。

釣り竿を持っている青い作業服を着た父親からサポートを受けながら、黒い帽子とオレンジのライフジャケットを着た芳雅くんが釣り竿を手に取っている場面の写真

この日の狙いは、ネウ(アイナメ)とカレイ。

他の釣竿にはあたりが続く中、芳雅くんの釣竿にはなかなかあたりがこない。

オレンジのライフジャケットを着た芳雅くんが青い船の上で釣り竿を持ち、笑顔でカメラに向かって立っている姿を写した写真

「パパつれなーい」

すぐに飽きる。

父親とライフジャケットと帽子を着けて真剣に釣り竿を握っている芳雅くんが並んで釣りをしている様子を横から撮影した写真

「地面をトントンって叩いて、ゆっくりスーって引き上げるんだよ」

「よしつねーーー。竿!」

飽きては他のものに興味を示し、父になんども促され、釣竿を握る。

そんなことを繰り返すこと1時間。

「ほら、引いてるぞ!」

芳雅くんの竿が引いている。

釣り船の上で父親と芳雅くんが釣り竿を持って嬉しそうに釣りを楽しんでいる様子の写真

「あ、きた?きた!!」

黒いキャップを被った芳雅くんが、釣り竿のリール部分を見ながら集中して引き上げている様子の写真

「ネウかな?ネウかな??」

芳雅くんが引っ張られたた釣り竿を持ち、父親が横で網を準備している様子の写真
釣り針にかかったアイナメが船の床に置かれて勢い良く跳ねている様子の写真

「つれたーーーー!」

大きなアイナメを両手で持って嬉しそうに笑顔を見せている芳雅くんの写真

満面の笑みで釣った魚を見せてくれる。

オレンジ色のライフジャケットと黒い帽子を着用した芳雅くんが、地面に寝そべって赤い棒な様な物を持ちながら茶色の魚を観察している様子の写真

その後も何度もあたりがかかる。

赤い服に青い防水ズボンを履いた父親が、嬉しそうに満面の笑みで釣り竿を持っている船の上の様子の写真

芳喜さんも嬉しそう。

オレンジ色のカゴに入った緑色の網にアイナメとカレイの複数の茶色い魚が入っている様子をアップで撮影した写真

2時間ほど釣りをすると、カゴはネウとカレイでいっぱいになった。

父の背中を見て、海に親しむ

「ねえねえ。質問していい?」

岸に帰る途中、芳雅くんにそんな質問を投げかける。

「えーーー」

「あ。そのノートなに書いてあるの?」

「芳雅くんが話したことだよ」

「見せて!」

「じゃあさ、私がこれに書くから、読んで答えて!」

「いいよ!」

青い船の上でオレンジ色のライフジャケットを着た芳雅くんが笑顔でカメラを見ている写真

「うみはすきですか」

「すき!」

「どんなところがすき? 」

「さかながいるところ!」

「たのしいのはなにをしているとき? 」

「つり!」

「パパがうみでしごとをしているのはどうですか? 」

「ついていきたい」

「おおきくなったらなにになりたい?」

「ぱぱみたいなりっぱなうみのりょうしになりたい」

芳雅くんに聞いた質問と答えが書かれたノートをアップで撮影した写真
オレンジ色のライフジャケットと黒い帽子を着用した芳雅くんが、青い船の上でタンクの様な物に手をかけて海を見つめている写真

「道を逸れなければそれでいい。自分もそうだったけど、あとを継げと言う気はない。自分にとって海は遊ぶところ。稼ぐところ。それをちょっとしたことでもお手伝いしてくれたら嬉しい」

そう話す父、芳喜さん。

オレンジ色のライフジャケットと黒い帽子を着用し釣りをしている芳雅くんと、赤いTシャツとベージュの帽子をかぶった父親が青い船の上で海に向かって釣りをしている様子の写真

海で働く父の姿、そして海に対する思い。

言葉で言わずとも、それをしっかりと受け止め、受け継ぐ義雅くん。

子どもの頃から海と触れ合い、自然の中に溶け込みながら暮らす。南三陸の漁師の歴史は、きっとこうやって続いてきたのだろう。

赤いTシャツを着た父親と、白い長袖シャツに青い長靴を履いた芳雅くんが、白い車の隣を歩いて古い自転車やカバーがかかった荷物のある建物の入口に向かって歩いている後ろ姿の写真

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