芝生の広場に立つ13人の男女が笑顔でピースサインをしており、前列には緑の運動着を着た子どもたちがしゃがみ、後列には指導者と思われる大人や女子生徒が立っている写真

マラソン教室に参加した中学生らと講師陣

11月4日(土曜日)に松原公園にて町内の小中学生を対象にしたマラソン教室が開催されました。講師として仙台大学の陸上部の学生とコーチが参加し、子どもたちは本格的な練習と楽しく走る経験が出来ました。

12年前からの約束

秋の寒さが少し感じられる11月4日(土曜日)。志津川地区の松原公園にて、小学生と中学生の部に分かれてマラソン教室が開かれました。マラソン・陸上好きな小学生12名と中学生7名が集まり、講師として仙台大学陸上部駅伝チームの大学1年生3名と川中コーチがこの日のために駆けつけました。

芝生のグラウンドの横に立つ黒と緑のジャージを着た4人が、手を後ろに組んで前を見つめている写真

川中コーチ(左)と陸上部マラソンチームの1年生3名

このマラソン教室は南三陸町総合型地域スポーツクラブ主催で、クラブのスタッフを務めるホップキッズクラブ南三陸体操教室の阿部純子さんが仙台大とのご縁を繋いでくれました。川中コーチと阿部さんは仙台大学時代の先輩と後輩。卒業後東日本大震災をきっかけに繋がりました。「あの時、純子先生と約束したんですよ。子どもたちに陸上教える機会があれば駆けつけるよって。10年以上経ってしまったけれど、こうして開催出来て本当に嬉しいです」。川中コーチと阿部さんとの間でずっと温められていた約束が12年の時を経て果たされることになったのです。

ピンクのポロシャツを着た人と青と白のジャージを着た人、黒いジャージを着た人が草地の前で並んで立っている写真

阿部さん(中央)と、川中コーチと大学時代の同期で現在は奈良県でスポーツクラブを運営する竹之内さん(左)も参加

マラソン教室小学生の部

まずは小学生の部からスタート!元気よく挨拶をして準備運動を念入りに行います。

広い芝生の中で、緑のジャージを着た人と子供たちが円を作って体操をしている写真

身体を大きく動かしてストレッチ

ウォーミングアップとしてタグラグビーをすることに。大学生は川中コーチから「本気で追っかけていいぞ」と言われつつも「いやいや小学生が相手ですし大人気ないですよ」と余裕の表情ですが、始まってみると小学生の全力ダッシュに追い詰められる場面が多数。肌寒い気温だったのですがすでに軽く息切れするくらいには身体が温まったみたいです。

広い芝生の運動場で、大人と子どもたちが新聞紙のしっぽを使った遊びを楽しんでおり、子どもたちはカラフルな運動着を着て笑顔で動き回り、大人たちは緑や黒のジャンパーを着て見守っている写真

背中につけた新聞紙を何枚取れるかを競います

芝生の広場で緑のジャンパーを着た大人が笑顔で男の子を追いかけ、遠くには別の大人が走っている様子が見える写真

普段から遊び慣れている子どもたちがやや有利となる展開に

ここからが本番。大学生からラダーやミニハードルを使った練習を教わり、脚の動かし方やリズム感を鍛えます。はじめてのメニューにも関わらず、1回、2回と取り組むうちにどんどん動きも良くなってきました。大学生も普段コーチから言われている指導方法を子ども達向けにアレンジしつつ、見本を見せながら楽しく教える経験値を積んでいきます。

広い芝生の運動場で、男の子が黄色いミニハードルを元気よく跳び越えており、後ろには順番を待つ子どもたちが見える写真

上に引き上げまっすぐ素早く下ろすというシンプルながら難しいハードル練習

子どもたちが芝生広場で黄色いハードルを順にジャンプして運動している様子で、後ろには見守る大人や待っている子どもたちが並んでいる写真

少しずつハードルの間隔を空けて、より走る体勢に近い状態にします

覚えた動かし方を忘れないうちにグラウンドを周回して身体に馴染ませます。「自分のペースでいいからね!」という阿部さんと川中コーチから言われますが、1人がダッシュし始めるとあっという間にみんなで全力ダッシュ!2〜3周どころか4周目に入る子もいて、走ることがより楽しくなったのが伝わってきました。

数人の子供たちが屋外の広場で元気に走っていて、その後ろを緑のジャージを着た大人が走っている写真

なんだか足が速くなったかも!と興奮する子どもたち

集まった保護者からは「うちの子は走ることが大好きなので他のスポーツ教室には参加していませんでした。こういう機会が定期的に続いてくれると嬉しいです」と笑顔で走るお子さんを見て話してくれました。

自分の名前が書かれたシールを貼った数人の子供たちが屋外の芝生の上に並んでいる写真

楽しく走る環境と仲間がいることの重要性を感じました

マラソン教室中学生の部

小学生の部が終わり、一息ついて中学生の部が始まりました。
参加者は歌津中学校の生徒7名で、それぞれ部活はバラバラですが走ることを学びたい!とモチベーションがなかなか高いメンバーが集まりました。

Tシャツを着た中学生の男女と緑のジャージを着た指導者が対面して芝生の運動場に並び、話しながら拍手している写真

中学校の駅伝部にも所属する子もちらほら

中学生のメニューはミニハードルを使った練習と、走る際の股関節の動きや足の着地を意識したトレーニングを教わります。教えてくれる大学生にアドバイスを求め質問をするなど積極的な姿勢が見えました。

中学生の女子が緑色のTシャツと紺色のショートパンツ姿で、黄色いミニハードルを次々に跳び越えながら芝生の運動場を走っており、後方に他の女子生徒も列をなして同じ練習をしている写真

フォームを意識した練習

中学生の男女が芝生の運動場に広がって並び、片足を上げてランニングの準備運動をしており、緑色のジャージを着た指導者が両端で見守っている写真

大学生が中学生らに教える様子を見守る川中コーチ

最後は大学生、川中コーチも混ざっての襷リレー対決をすることに。初めて本物の襷を見た中学生たちは歓声を上げ大興奮。そして襷を目にするだけで喜ぶ中学生を見て思わず笑みがこぼれるコーチ陣。「襷を見るだけでこんなに喜んでくれるなんてね。見るだけじゃなくて実際にこれを使って走るよ!」川中コーチや大学生から襷の掛け方や渡し方、そして混合チームを作るじゃんけんが行われいよいよ本番です。

緑のTシャツを着た子どもたちが芝生の広場で、ピンクのポロシャツと青いハーフパンツの指導者から襷を見せてもらい準備をしている写真

竹之内さんから自身のスポーツクラブで使っている襷を使わせてもらうことになり、思わず口を塞ぐほど喜んでいる中学生たち

緑色のジャージを着た若い女性が黄色い襷を子どもに渡しており、周囲には同じ服装の仲間と青い服の人が立っている写真

結び方から教えてもらいます

手加減なし!全力疾走した襷リレー

走る順番を決めていよいよ第1走者のスタートです。手加減無用、大学生も本気で走ります。「手を抜かずに本気で走ることで、子どもたちに“こんなに速く走れるんだ!”と思ってほしいですね。ガチンコでやることでやる気の底上げに繋がったら嬉しいですが、負けちゃったらどうしましょう」と競争することの意味を語りつつも、自身がアンカーになったことを少し不安に思う川中コーチですが、各チーム大学生と中学生が交互に走るため勝負は最後まで分かりません。

男性が指を指して隣に立っている緑色のTシャツを着て黄色の襷をかけた子供に何かを説明している写真

作戦を練ってアドバイスをする川中コーチ

広い芝生のフィールドで、緑のシャツを着た子どもたちや大人の男性が見守る中、緑のTシャツの着た女の子から襷をもらった黒いTシャツの女の子が走り出す写真

大学生が走ると思わず歓声が上がるほど、その速さは圧倒的でした。

そして待ちに待ったアンカー対決。序盤はリードしていた川中コーチでしたが最後の最後に逆転負け!しっかり本気で向き合ったことで、どのチームも全力で走る楽しさを味わうことが出来ました。最後の組がゴールするまで残りのチームみんなで応援する姿も見られ、ただ走ること以外にも大事なスポーツマンシップや相手へのリスペクトを忘れないことを学べたのだと感じました。

木々の生い茂る緑の斜面を背景にした屋外のトラックで、3人の人物が間隔をあけながら全力で走っている写真

残り100Mまではリードしていました

陸上トラックで、緑のシャツとタイツを着て黄色の襷をかけた男の子が真剣な表情で全力で走っている写真

最後の直線で抜き去った!

いつか同じユニフォームを着て。

今回のマラソン教室に大学生を連れて来たことについて川中コーチは「学生にとって、ほんといい経験ができました。自分が不自由なく走れる環境下で、思い切り走れる。幸せな事やありがたいという事がわかったと思います。大事な事は、継続していく事。走る事だけでなく、身体を動かす事が気持ちいいとか、楽しいってつながっていってくれれば、うれしいです」と話してくれました。普段なかなか接することのない年代と一緒に走ることや、勝ち負けを抜きにして陸上に触れる機会としてとてもいい時間になったそうです。

広い芝生のグラウンドで、緑や黒のTシャツを着た子どもたちと緑のジャージを着た指導者が向かい合ってグータッチをしながら交流している写真

お互いの健闘を讃えあう。中学生らにとって、憧れの存在になりました。

大学生らも「初めて来ましたが今日1日での子どもたちの成長にびっくりしました。継続的に訪れたいなと思います」と話し、この後は町内で美味しい海鮮を食べるのを楽しみにしていました。

屋外の運動場で、黒・青・緑・赤・ピンクのジャージを着た大人たち7人が横一列に並び、笑顔で手でハートマークを作ってカメラにポーズをとって撮影した写真

仙台と奈良から駆けつけてくれたコーチたち。「今度は南三陸の襷を持って奈良に集合かな!」と新たな約束も。

参加した中学生らを普段から見ている阿部さんは、偶然にも仙台大陸上部のジャージの色と中学生らが来ていたシャツが同じ色だったことに注目し「もしかしたらここから仙台大に進む子が出てくるかもしれないし、未来の後輩だと思ってこれからもぜひ一緒に練習できる機会を作れればと思います。これを機に町内にまだない陸上クラブを作ってみたいなと思うようになりました」と、自身が繋いだ襷を受け取る子どもたちの未来を作っていくことを新たな約束として刻みました。

トラックで白や黒、緑のシャツを着た子どもたちが一列になって楽しそうにランニングしている秋の屋外トレーニング風景の写真

子どもたちにとって「やりたい」が叶う町に向かって。

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