年配の女性二人が笑顔で机に並んで座り、マスクをつけながら、それぞれが手作りの花が飾られた白いうちわを持ってカメラに向かって見せている写真

モノづくりを通して地域住民の交流の場を提供する「出前モノづくりカフェ」が7月29日に歌津復興交流センターで行われ、地元の人たちなど11名が参加しました。参加者たちはちぎり絵によるうちわ作りに挑戦、途中お茶っこもしながら楽しい時間を過ごしました。

出前モノづくりカフェとは

「出前モノづくりカフェ」とは、南三陸杉間伐材など地域資源を活用した製品を手掛ける一般社団法人南三陸YES工房が開催しているワークショップ。移動が困難な方でも参加できるようにと町内の集会所や福祉作業所などに場所を提供してもらい、講師が赴く出前スタイルで行われています。

「地域住民の交流の場になれば」との思いで昨年から始まったこの取り組み、これまでまゆ細工で作るひな人形作りや、クリスマスリース作り、手ぬぐいを使ったマスク作りなどが行われました。参加費は材料とお茶、お菓子がついて500円!ワンコインで参加できる気軽さがうけて人気を集めています。

緑とピンクの胴体をした小さな和装のまゆ細工のひな人形が二体、和紙の花柄の背景の前に木の台座の上に飾られている写真

2月に行われたワークショップで作ったまゆ細工のひな人形(写真提供:YES工房)

小さなサンタクロースとトナカイのまゆ細工の人形がクリスマスリースの中央に飾られ、周囲に赤いリボンや緑の葉があしらわれている写真

昨年12月のワークショップではまゆ細工のサンタとトナカイがかわいらしいクリスマスリース作りが行われました。(写真提供:YES工房)

ちぎり絵でうちわ作りに挑戦!

今回、参加したみなさんが挑戦したのはうちわ作り。無地のうちわに和紙を手でちぎって思い思いに貼り付け、模様を描きます。

マスクをつけた白髪の女性が真剣な表情で机の上の白いうちわに、ピンクと紫色の和紙をちぎって花の装飾を貼り付ける作業を行っている様子を左から撮影した写真
白いうちわの上に紫とピンクのアジサイの花と緑の葉が貼り付けられ、細かな繊維や金の糸があしらわれている手作りうちわの作品の写真

のりを塗ったうちわにちぎった和紙を重ねながら貼っていきます。色を混ぜることで立体感が出ます。

マスクをつけた高齢の女性が、机に置いた白いうちわの上にちぎった薄紫色の和紙を丁寧に貼り付けて装飾している写真

「自宅の庭の風景をちぎり絵で再現したい」と話す女性。真剣そのもの。

最初は、ちぎり絵に没頭していたみなさんも、作業に慣れたころにはお互いの進み具合を見に行ったり、時には手を止めて世間話に花を咲かせたりしていました。

マスクをつけた年配の女性二人が机の前で向かい合い、一人がうちわの制作を進めながらもう一人が立って会話している写真

1時間半ほどでアジサイやアサガオ、かき氷など見ているだけで涼しくなるような夏らしいうちわが完成!

机の上に並べられた三本の白いうちわに、青やピンクのアサガオやかき氷、赤やオレンジ色の花などが貼り付けられた作品が並ぶ写真

一番盛り上がったのは、出来上がったうちわの発表会。作品へのこだわりや、やってみての感想など一人ひとりが発表し、お互いの力作に拍手を送りました。

マスクをつけた講師のような女性が完成した装飾うちわを持ち上げて見せ、机の周りに座った年配の参加者たちが注目している写真

参加者からは「家にいることが多くなって誰にも会わない日もある。こういう機会があって楽しみが増えた。」という声や「昔はご近所みんなで集まって、古布を使ったモノづくりをしていたけど今はその機会もなくなってしまった。久しぶりに楽しい時間だった。」という声が上がりました。

講師も参加者も“気軽にゆるく”が合言葉

主催するYES工房代表理事の大森丈広さんは「震災から10年が経ち、ハード面の復興は進んだが、ソフト面ではまだまだ。震災前と比べて住民同士の交流の機会が減ったと感じることも多くあり、震災後、地域住民の雇用と交流の場を作る活動をしてきた私たちができることってなんだろうと考えた。“出前モノづくりカフェ”を通じて、家にこもりがちなお年寄りや障がいを持った人にもモノづくりの楽しさを感じてもらい、生きがいや交流のきっかけになれば。」と話します。また、こういった取り組みは一過性のものではなく長く続けることに意味があるとして、「我々も参加者もいい意味で“気軽にゆるく”を合言葉にしている。作品はだれにでも作れるものを提供し、ハードルは高くしない。講師やスタッフも肩の力を抜いて参加者とおしゃべりしながら一緒に楽しむことを心掛けている。地域の人とお話しすることで新たな発見があったり、感謝されたりすることで、お金では買えない価値観を感じることができる。」と、自らも参加者との交流を楽しみながら行っていると話してくださいました。

年配の女性がうちわ作りの作業中に液体のりを手にしながら、カメラを置いた隣のテーブルに座る黒いシャツを着た大森さんと笑顔で会話をしている写真

参加者と世間話で盛り上がる大森さん(左)

今後はまゆ細工でハロウィン飾りなども作る予定。年齢問わずどなたでも参加できるので、興味のある人はぜひモノづくりの楽しさを体験してみてはいかがでしょうか。

「出前モノづくりカフェ」に関するお問い合わせ
一般社団法人YES工房 電話:0226-46-5153

この記事に関するお問い合わせ先

企画課 企画情報係
〒986-0725 宮城県本吉郡南三陸町志津川字沼田101番地
電話:0226-46-1371
ファックス:0226-46-5348
本ページに関するお問い合わせ