
さて、本日の話題は森林と木材が適切に管理されていることを証明する『森林認証制度』について。
世界の林業界ではこの認証取得が大きな指針となりつつあります。
南三陸町でも豊かな山をブランド化し、木材の利用拡大を目指そうと認証取得に向けた準備が進められていましたが、(2014年5月勉強会 2015年4月事前審査)
いよいよ先日、FSC(R)FM認証 本審査が行われることとなりました。

FSC(Forest Stewardship Council(R):森林管理協議会)におけるFM(Forest Management)認証は国際的な森林認証制度の一つで環境・法律・地域社会への影響など、10の原則からなる基準を用いて森林を評価します。
国内での認証林は34件(2015年6月現在)。
南三陸町で取得することができれば宮城県内では初の事例となります。
今回FSC FM認証取得を申請しているのは町内林業団体と町で設立した管理組織『南三陸森林管理協議会』です。
町有林と町内の民間林の一部 計1,314.85ヘクタールの認証取得を目指しており、これは町内の森林面積の約1割にあたります。

寒冷多湿の南三陸。
ここで育った木は細身ながらも目が締まり、高強度の良材となるそうです。
スギ・ヒノキ・ケヤキ・カエデ等、豊富な樹種にも恵まれています。
「南三陸では山の健全は海・里の健全にも繋がるもの。
また周辺では良質な南三陸杉で家を建てたい、という声も多い。
この取り組みから全町で森林管理の仕組みを広げ、多様な木材を安定供給できるようにしていきたい。」
(南三陸森林管理協議会会長 佐藤久一郎さん)

7月下旬。
審査員2名が山に入り、ヒアリングを交えた森林調査が行われました。
山主たちにとって自慢の山とはいえ、目の前で評価されることはめったにありません。
静かな山に緊張が走ります。




審査は3日間に渡りました。

最終日、審査員の東京大学大学院生命科学研究科教授 白石先生より下された講評は“森林管理がしっかりなされている”というものでした。
悪くない手ごたえに、林業家たちが胸をなでおろします。
今回の現場審査のレポートはイギリスの認証機関ソイルアソシエーション本部へと提出され、認証審議段階へと入ることになります。
あとは結果を待つばかりです。
自慢の山が国際認証林となれば、2020年の東京オリンピック・パラリンピック需要ほか世界の市場で堂々と渡り合うことができるでしょう。
また町内でも公共施設や橋・公園等、認証材を使いたい場所はたくさんあるのです。
審査結果が下りるのは早くて9月下旬。
ひとまず緊張の解けた一同ですが、この先には本当の勝負が待っています。

(日比谷)
