
6月15日、ホテル観洋にて開催された『南三陸森林組合フォーラム 南三陸を森から語る』の模様をお伝えします。

林業経営で未来を拓く、がテーマとなった今回。
およそ70名の来場者を前に、識者4名が登壇されました。
基調講演を務められたのは三重県の速水林業代表 速水亨氏。
2000年、国内で初めてFSC認証を取得したことでも知られる国内林業の第一人者です。

「日本の森は今とても良い状態です。
しかし、森の状態・国産材自給率の上昇に反し国産材価格は下がり続けています。」

長く続く林業の実現のためには気候・風土に適した徹底的な合理化が必要と説く速水氏。
その後の登壇者からは山野を地図化することの効果や町内プロジェクト、課題点についての報告が続きます。

運営の方のお話では、この森林組合フォーラムのきっかけとなったのは一つのエコツアーだったそうです。

今年3月に開催された『しづがわ湾源流ウォーク』。
山主や研究者等、山に携わる人々の手による町の山を知ってもらうためのウォーキングツアーでした。



「南三陸は分水嶺がそのまま行政区となっている町です。
つまり町域内に降った雨がすべて町の川を下り、町の海へ流れていくということです。
山からの恵みを海がダイレクトに受け取り、海は山へミネラル豊富な潮風を還します。
里の営みもその中から生まれます。」
南三陸の特徴である森・里・川・海の循環に惹きつけられた参加者の方々。
「この山と森を守っていくために知恵を出し合おう。」
そんな声が今回のフォーラム開催に結び付いたのだそうです。

林業に限った話ではありませんが、町では今様々なプロジェクトが芽吹いています。
いずれも『町と未来を良いものにしたい』と願うものですが、ほとんどが始動したばかり。
相互の連携や情報発信が進んでいないのが現状です。
志を同じくするプロジェクトが協力し合うことでより効果的な森林づくり・まちづくりに繋げることができます。
「人任せじゃダメなんです。
自主的に、合理的に、未来に続けるために、夢を持った森づくりが必要なんです。」(速水林業代表 速水亨氏)
町の山々にとって、今回のフォーラムは大きな転機となるのではないでしょうか。

(日比谷)
