大型の屋根付き製材工場の外観で、建物の中には緑色の製材機が並び、屋外にはカットされた木材が整然と積まれている様子が見える製材工場の写真

天気のいい朝。稲刈りや枝豆の収穫などを通して、「収穫の秋」を感じる時期です。

南三陸町志津川で、地域産の木材にこだわって製造・加工をされている丸平木材さんにお邪魔してきました。

山のふもとの屋外作業場に、丸太や角材が無造作に並べられており、背景には森と作業小屋が見える木材置き場の写真

400年前に伊達藩藩主の政宗公が南三陸の地に植林を奨励されて以来、町の杉は、全国でも有数の良材が取れる産地となりましたが、その材質の良さを知っていたのはプロの方々だけでした。

そこでもっと多くの方々に良さを知っていただくため、2008年に「南三陸杉」と銘打ち、「南三陸町山の会」を中心とする地域の林業家の方々と力をあわせ、ブランド化を目指します。そして3年後、2011年の3月1日に、「南三陸町山の会」の活動が認められ、農林水産大臣賞を受賞し、日本一になったのです。

屋内の作業場で、きれいにカットされ青いテープで束ねられた角材が高く積まれて製材された木材の写真

そんな「いよいよこれからもっともっとPRしていこう」とした矢先、まさにその10日後に大きな被害を受けた丸平木材さん。震災前に稼動していた工場や小野寺社長のご自宅は、津波で流失。今まで103年間営業を続けてきた時間が止まりました。人の社会の儚さを痛感して茫然としたそうです。

その一方で、生かされた命と与えられた役割を感じた小野寺社長は、工場の再開を決意。『「木の真の力を輝かせる」事で、かけがえのない皆様のくらしに貢献していきたい』という想いで震災前に原木置き場だった高台に工場を新設し、2012年の4月11日に営業を再開しました。

山あいの森林に囲まれた製材所の全景が写っており、『丸平木材再始動 2012年4月1日』と書かれた文字が中央に重ねられている丸平木材再始動告知の写真

新設された工場は、今までの「経験と知恵」の集積の上に、現代にマッチした最新鋭の加工工場。

製材所の屋内で、緑色の大型機械に丸太がセットされ、作業員がヘルメットと防護具を身に着けて機械操作をしている丸太加工中の写真
カットされた角材がベルトコンベアに並べられ、奥では防護マスクとヘルメットを着用した作業員が機械の前で作業している製材作業中の写真

見る見るうちに、丸太が製品に変わっていきます。

作業員2人が製材された木の板をベルトコンベアから手で持ち上げて整理している様子の写真
製材された細長い板が自動搬送ラインに整然と並べられ、作業員が品質を確認しながら仕分け作業をしている製材ラインの写真

そして、全国でもごく少数しか実現できていない低温乾燥を取り入れています。100℃以上の高温で杉を乾燥させるのが一般的な乾燥手法ですが、「愛工房」という乾燥機械を使い、酵素が死なない・人間も中に入っていられる45℃で木材を乾燥させることができます。精油成分が失われず、つやつやの輝きと香りを放つ乾燥材になるそうです。

「天井と壁が木で囲まれた乾燥室の中に、丁寧に積み重ねられた角材が隙間なく並べられており、奥には照明の光が差し込んでいる木材乾燥室の写真

扉を開けて中を拝見すると、サウナのような熱気を感じました。

製材所の作業場にて、加工された細長い木材が赤い金属製のラックにきれいに並べられている様子の写真

新設工場で営業を再開して1年以上が経ちますが、工場の稼動はまだまだ足りない状況。工場を新設したことで原木置き場がなくなったので、隣接する敷地を造成中です。

白い外壁に『丸平木材株式会社』の社名看板が掲げられた建物の前に立っている、作業服を着た小野寺邦夫社長の写真

「災害公営住宅や高台移転に伴う復興住宅の建設には、地域の他の製材会社と連携しながら町内の地域産材を使って、木材供給の使命を果たしていきます。」(小野寺邦夫社長)

ミネラルたっぷりの潮風に育まれた「南三陸杉」と、その良さを活かす丸平木材さんの加工技術。そんな町の宝物が、もっと多くの人に届きますように。

丸平木材株式会社

  • 住所: 志津川字天王山22-1
  • 電話: 0226-46-3113

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〒986-0725 宮城県本吉郡南三陸町志津川字沼田101番地
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