赤いジャンパーを着た女性が机の上に広げられた花を手に茎の下部についている不要な葉を手で取り除くり作業をし、右側に黒いニット帽とグレーの上着を着た男性が立ち、奥の作業台の上や周辺には、黄色や白、ピンクなど色とりどりの花がたくさん並べられている屋内を写した写真

2月のある日、南三陸町歌津で菊を中心とした農業ビジネスを展開しておられる株式会社小野花匠園(おのかしょうえん) 代表取締役、小野政道さんの元を訪ねました。

赤いジャンパーを着た女性が机の上に広げられた花を手に茎の下部についている不要な葉を手で取り除くり作業をし、右側に黒いニット帽とグレーの上着を着た男性が立ち、奥の作業台の上や周辺には、黄色や白、ピンクなど色とりどりの花がたくさん並べられている屋内を写した写真
木造の自然光が差し込む明るい室内で3人の女性が作業を行い、花の束があちこちの台やバケツに並べられている様子の写真

高校卒業後、あてもなく「東京に行ってみたい」と、ほとんど身ひとつで東京へ行った政道さん。
様々な社会勉強をしながら4~5年東京にいたそうですが、体調を崩されたおばあちゃんと、また一緒に過ごしたい、という思いから帰ってきたといいます。

当時、農業を継ぐという意識はあまりなかったとのことですが、長男ということで、やはり家業である農業が待っていたのだそうです。
それが12年前、政道さんが23~24歳の頃。

自分で作ったものを自分の好きなように売れない。―なぜ?という思い。
家族経営だから、職場で失敗など嫌なことがあった時、自宅に帰っても空気がどんよりしている。
当時は農業が楽しくなかったのだといいます。

それから7~8年が経ち、ようやく農業で家族を養っていけるかな、と思っていた時に起きた震災。

自分に何が出来るか?
「仕事が残った」
「働く場所を作りたい」
「会社にして社員として雇用し、雇用を守りたい」

政道さんは考えました。
これまで市場9割、直接販売1割という出荷割合を逆転させ、市場1割、直接販売9割にすれば、雇用が守れるのではないかと思ったといいます。

計算すると、人ひとり雇用するためには4~5店舗と契約できればよい。
気仙沼、登米、仙台と販路を拡大し、震災後11ヶ月の時点で30店舗と取引が出来るようになり、6名の雇用を作ることが出来ました。

リボンがついた花束と赤い箱に入ったフラワーアレンジメンなどが置かれたテーブルの前に座っている黒いニット帽と黒のスポーツジャケットを着た小野政道さんの写真

政道さんのところでは、最高齢で78歳の方が働いておられるといいます。

体が動くうちは、カキの殻むきなどの仕事を、仲間とワイワイ話しながらするのが当たり前の生活だった、浜のお母さんたち。
浜の仕事には定年はないのだそう。

震災後、職場をなくし、仮設暮らしをしていると、心身共に弱ってくる方もいる。
政道さんは、菊の出荷作業などの仕事を提供することで、お母さんたちに生き甲斐となるコミュニティの場を提供しました。

黄色や白に加え、アクセントとして紫色の菊の花が透明なビニールで包まれ、バケツの中にたくさん入っている写真
屋内の一室の壁沿いにたくさんの段ボールが整理されて置かれ、手前には黄色、白、ピンク、紫色の花がたくさんバケツの中に入って置かれている室内の写真

震災前は、ふるさとへの思いは正直あまりなかったという政道さん。
震災後、改めて「ここで生まれたんだ」ということを実感。
町を離れる選択肢もあったが、もう少しここでチャレンジしてみたい、と思ったそうです。

生き残った命。

自分より小さな命が亡くなったことを目の当たりにし、「何かしないといけない」と突き動かされるものがあったといいます。
そのエネルギーで、経験はないけれど、飛び込みであちこち営業することができたのだそうです。

一昨年からは、仲間と一緒に交流イベントを始めたとのこと。
この町を好きになってくれた人とつながりたいし、そういう場を提供することで、関係性が増幅すれば交流人口も増えるのでは、という想いからだそうです。

震災前は、仕事は仕事、プライベートはプライベートと思っていましたが、今では、地域のことも考えるようになった政道さん。

今後の目標は「毎年毎年雇用を作れたら良いと思っています」とのこと。
また、現状に満足せず今の5倍くらいの成長をしたい、といいます。

銀色に光沢のある長方形の器に、中央の赤い花がひときわ目を引き、そのまわりを黄色や黄緑の小菊のような花々と細長い緑の葉で美しくまとめられ、全体に濃いピンクのリボンがかけられた華やかなフラワーアレンジメントの写真
赤地に白い水玉模様の四角い箱のふたが外され、白や黄緑の花々の中に赤い小さなバラが3輪ほどアクセントとしてあしらわれ、花がぎっしりと詰め込まれた華やかなフラワーギフトボックスの写真

金儲けというと嫌な顔をする人がともすると多い昨今、本質的には儲けたお金をどのように使うかが問われるのであり、金儲けがいけないことではない。
むしろ、利益がなければ雇用を守れないし、再投資も出来ない、リスクに対応する力もなくなる。

地域の雇用を増やし、地域コミュニティの受け皿になっておられる、小野花匠園さん!

政道さんの益々のご発展を期待しています!

株式会社小野花匠園(おのかしょうえん)
営業時間 9時~19時(季節により変動)
定休日 日曜・祝日
住所 〒988-0473 南三陸町歌津字中在66
電話・ファックス 0226-36-3711

(櫛田)

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