
「南三陸春告げやさい」をご存知でしょうか。
年明けからわずかの間、菜花やアスパラ菜など7種の葉物野菜だけに付けられる特別なブランド名です。

1月末、歌津地区港。
山間の地図にない道を抜け、清々しい畑に辿り着きました。

「1人か?よくここが分がったなあ。」
迎えてくださったのは畑の主、小野寺功さんです。

ここは春告げやさいの1つ「ちぢみゆきな」の畑。
「つってもなあ、もう今日明日採ったら今年の分は終わりだ。」
ご親族とともに最後の収穫作業中でした。

ちぢみゆきなは去年9月に種を蒔き、12月から収穫が始まりました。
ですが「春告げやさい」と銘打たれるのは1月以降に収穫されるものだけなのだとか。
「寒さが厳しくなると葉が縮れてきて、ぐっと甘みが増すんだよ。」
まさに春を告げる味です。

「炒め物とか味噌味とか、ちょっと濃いめの味にするのが旨いねえ。
(他の春告げやさいの)ちぢみほうれんそうなら、さっぱりとおひたしかな。」
聞いているだけでお腹が空きます。
功さんの畑では今年約120ケース分のちぢみゆきなを収穫。
このあと土を掃い袋詰めして農協へ出荷、2日後には仙台等のお店に並ぶそうです。

日差しが暖かかったこの日、功さんは「今日ははかいった(はかどった)なあ。」と満足げな様子でした。
ちぢみゆきなが終われば、畑の主役は枝豆やばっけ(蕗)に代わっていきます。

「他に果樹や山の管理もあるし、数年前までは牛も育ててた。
俺ももう84だ。いつまでできるかわかんねえけど身体が利く間は続けたいと思ってるよ。」
手入れの行き届いた畑は、功さんのまっすぐな背中にも似ていました。

(日比谷)
