黄金色に実った稲穂が風に揺れている様子を青空の下から見上げるように写した、収穫前の水田の写真

新米の季節ですね。こちら米どころ宮城、数々のブランド米が手に入ります。中でも今年はあの希少品種の姿がちらほら見られるようです。

昭和38年、宮城県内で開発された「ササニシキ」。和食に合うあっさりとした食感、すいすいと食べ進められる滑らかさが特徴で全国で扱われる人気銘柄でした。が、病害や天候不順に弱く栽培が難しいとされ近年は生産量が激減していました。

「宮城の誇り」「幻の米」と呼ばれながらごく少数の稲作農家でのみ続けられてきたササニシキ栽培。それが震災後、「かつての銘品種を蘇らせることで地域再生を」とササニシキ再生に取り組む生産者が増えているのです。

南三陸町入谷の農家 阿部博之さんの田んぼでは2012年からササニシキの栽培を開始しました。

田んぼの脇に座っている青い作業着と白い帽子をかぶった阿部博之さんの写真

農家の方々はササニシキのことを、愛情を込め「ササ」と呼びます。「ササは育てにくいんじゃない、巷の近代農法が向いていないんだ」博之さんがこだわったのはササ本来の力を活かすこと。田植え前の徹底的な除草、苗から大きく育てること、水位の管理など手植え時代の技術を取り入れながら新しい有機農法を手がけました。

2012年の収穫は田んぼ2反分。ネット販売で好評を博し、評判となったそうです。

地元の近しい方へもふるまったところ、「やっぱりササはうまいねえ。食べたら作りたくなるよ。」2年目となる今年は生産者2名も増え、栽培面積は倍以上に。

山と木々に囲まれたのどかな田園地帯で、黄金色の稲が一面に広がる中、小型コンバインがたわわに実った稲を刈っている収穫風景の写真

今年収穫されたお米は仙台の米専門店などへ出荷されているそうです。来年はさらに生産者が増えそうな見込みです。

麦わら帽子をかぶった二人の男性が収穫したばかりの稲を手に持ち笑顔で写っている写真

田んぼは米を作るだけの場所ではない、と博之さんは言います。化学肥料や農薬を使わない田んぼには希少種のカエルや水草、大学生や地元の子どもたちなどが日々訪れます。命や知識、交流など、様々なものがこの田んぼで育っているようです。

女性たちが長靴を履いて農道を歩きながら、農作業に使う木材や道具を手に運んでいる農業体験中の写真
背の高い青々とした稲の中で数人の若者が農作業をしている様子を写した写真

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