夕暮れ時の海岸から見た、木々が密集した小島が遠くに浮かび、手前には砂利と草地が広がる風景の写真

荒嶋神社の宵宮祭(よいみやさい)は毎年必ず7月24日・25日に開かれていました。
年に一度、竜神様を島から本土へお迎えするお祭だったといいます。

夕暮れ時の海岸から見た、木々が密集した小島が遠くに浮かび、手前には砂利と草地が広がる風景の写真

そこへ襲った震災、津波。
荒島は一部損壊などの被害を受け、立入禁止となりました。
ご神体は志津川漁港の向こう側、上の山にある古峯神社へ遷座され、大事に守られてきたそうです。

緑に囲まれた階段の上に木造の神社拝殿がある、荒嶋神社の外観写真

それから3年余り経った今年。
荒島の修復が進み、ついにご神体を元の荒嶋神社へお還しできることとなりました。
7月24日、かつての宵宮祭と同じ日、宮司、禰宜、別当、数名の氏子さんたちの手でご神体の引越が行われました。

神社の拝殿内で正座した複数の参拝者が、祭壇を向いて静かに祈っている様子の写真
青空の下、参拝者や宮司の方々が砂の道を歩いて小島へ向かっている姿が見える、海に続く参道の写真。

海を渡り、真新しい階段を昇り、一行は島の神社を目指します。

岩場の先に続く石段を参拝者が上っており、白い布に「荒嶋神社」と書かれた大きな旗が両脇に立っている神社参道の写真

木々に囲まれたお社に到着。

森の中に赤い外壁の小さな神社が建っていて、左手に説明看板が立っている神社の外観写真

ご神体を神座へお収めし、祝詞が上げられました。

拝殿の中で祭祀服を着た2人の神職と2人の参拝者が、祭壇を向いて座り祈りを捧げている室内の写真

2日間の神事を経て、神様は無事荒嶋神社へお戻りになりました。

青空のもと海岸に面した小島の岩肌と緑が見え、手前に石造りの道が続いている海岸線の写真
神社の拝殿内部で祭祀服の神職が両手で榊を持ち、隣に正装した参拝者たちが座っている祭祀の様子の写真

が、同席させていただいた方のお話によると以前のような宵宮祭を行うにはもうしばらく時間が必要なのだそうです。

「お祭を取り仕切るにはそれだけ人が必要です。
 今はまだ多くの人に集まってもらうことは難しいでしょう。
 お迎えする本土の土地も、これから数年間は大きな工事が続きます。」
(志津川地区5つの神社を管轄する禰宜 工藤真弓さん)

夕焼けの空を背景に、葉の茂る木の枝がシルエットとなり、静かな港の水面が黄金色に輝く景色の写真

人と土地が戻ってくる日まで、今できる形で神様をお守りしていきます。
そうお話しくださいました。

拝殿内の神棚の前で、正座して並ぶ7人の男女が和服やスーツを着て笑顔で写っている写真

「お社のメンテナンスが必要ですね。」
「島の入り口の大鳥居も直さなきゃなあ。」
「昔はここで大酒を飲んで、親父に怒られたもんだ。」

参列の方々の会話から、神様や神社が身近な存在であることが伺えます。
それはこの場に来られない方も同じなのでしょう。
新しい町の完成と人々の帰還を、きっと神様も待っておいでですよ。

赤い神社の建物の前で、子供3人と大人1人が鈴を鳴らしお参りをしている後ろ姿が見える写真

(日比谷)

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