複数の車が停まった駐車場の手前にある広場に木のベンチが置かれ、5枚の白い切り絵パネルが展示されている野外展示スペースの写真

8月の猛暑の中、“南三陸みんなのきりこ祭”に向けてみんなのきりこ作りワークショップが南三陸ポータルセンターで行われました。
 (以前のきりこ祭の様子はこちら、きりこプロジェクトの様子はこちら)

複数の車が停まった駐車場の手前にある広場に木のベンチが置かれ、5枚の白い切り絵パネルが展示されている野外展示スペースの写真

家々の宝物や思い出、お店の歴史やエピソードなどを、象徴する形を考え、町の人たちの手で切り紙を作り、夏の終わりに軒先を飾ってきた「みんなのきりこプロジェクト」は2010年に始まりました。
“ここで生きて来た人たちの生業や歴史を伝えたい”
“一軒一軒の家々で育まれた思い出を忘れないでほしい”という思いを込めて白い切り紙を毎年作っています。

年配の男性が教室の中で大きな白い紙の松の切り絵を両手で持ち上げて見せている写真

「今年は84軒のお店やお宅の『みんなのきりこ』を、南三陸町のみなさんの手で作ります。」とこのプロジェクトを主催するENVISI代表の吉川由美さんは語ってくれました。

女性が室内のテーブルに座りながら笑顔で紙に下絵を描いており、周囲にはさみなど切り絵制作に使う道具が置かれている作業中の写真

今年は、昨年までと同様に、川崎町のみちのく杜の湖畔公園の来場者も「みんなのきりこ」を制作してくれていました。
合計300枚以上の切り紙が、伊里前福幸商店街、さんさん商店街、沼田地区の商店、戸倉地区・入谷地区にも飾られる予定です。
本日のワークショップ参加者は4名でした。
参加者のひとりは、大崎市の穂波の郷クリニックでボランティアを務める男性。
震災当初町内で支援活動を行ってきたそうで、きりこ作りは初めてと伺いました。
切り紙にカッターを入れ、きりこ作り開始です。
目を凝らしながら頑張って作っていました。

数名の男女が教室内の口型に並んだテーブルに向かい、それぞれ黙々と紙に下書きをしたりカッターで切ったりしながら切り絵制作に取り組んでいる教室の様子の写真
カッターマットの上に花や葉のような模様が鉛筆で描かれた白い紙が置かれていて、左には黄色いカッターが置かれている下絵段階の作品の写真

みんなの温かい手が加わり、絵柄の形が浮き出てきました。

年配の男性がカッターナイフで黒と白の切り絵の紙を丁寧に切り抜いている作業中の写真
赤いエプロンを着た女性が細かい模様の黒と白の切り絵をカッターで切っている様子の写真

吉川さんは鉛筆を手に取り、ある会社の物語を参考に下絵を描き始めました。

向かい合って座っている二人の女性が、それぞれ切り絵の作業をしながら会話を楽しんでいる様子の写真

みんなで思い出を語らいながら作業は続きます。
震災当時や震災以前の町の話、震災後に頑張って生きている人の話。
さらに原爆の話題では「平和な世界」を皆で祈り、きりこ作りの手を進めました。
一番盛り上がったのは「女性をとりまく日本社会」の話題で意見が飛び交い、そうしているうちにきりこが仕上がりましたよ。
この絵柄は“蓮の花”で、葬祭会館に飾るきりこです。

机に置かれた大きな白い紙の蓮の花をかたどられた切り絵の写真

南三陸みんなのきりこ祭は9月13日まで開催。
町内各所のお店や事務所、家の軒先に飾られますので、思いの詰まったみんなのきりこを見に行ってみてはいかがでしょうか。

店舗のガラス窓に、白い切り絵作品が飾られている写真
万国旗が飾られた仮設商店街の店舗前に切り絵の作品が飾られている様子が見える写真

 (菅原) 

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