日本の国旗、市旗が掲げられた議場で、制服姿の中高生とスーツ姿の関係者の方々が整列してカメラに向かってピースサインをしながら笑顔で記念撮影している写真

毎年恒例となった「志高まちづくり議会」が2月15日、南三陸町役場議場にて開催されました。志津川高校2年生、12名が3つのグループに分かれ、町が抱える課題に向き合い、解決案を町に提案。高校生ならではの視点でまちづくりについて考える時間を、町長はじめ町の職員たちと共有しました。

高校生がまちづくりに参画

今年で6回目の実施となる「志高まちづくり議会」。志津川高校の生徒たちが「総合的な探究の時間」を通して、地域課題を見つけ、学び、考え、解決策を検討し、その成果を発表する機会として、毎年開催しています。この日は高校生議員として2年生を代表して12名、町からは町長、副町長、教育長はじめ、各課管理職員が参加しました。議会を進行する議長役も生徒が務め、緊張感漂う本番さながらの議会が繰り広げられました。

緑の椅子が並ぶ議場の中で、スーツ姿の大人たちがアクリル板越しに座り、マスクを着けたまま真剣な表情で資料に目を通したりメモを取ったりして、後方には演台に立つ学生やカメラを構える人も見える写真
日本の国旗が掲げられた議場の壇上で、制服姿の男子学生がマスクをつけて真剣な表情で座り、左隣にはスーツ姿の大人とカメラを構える人の姿も見える写真

町役場議場で行われる「まちづくり議会」。議長役も生徒が務めます。緊張の面持ち。

まちづくり議会は、学習の成果をただ発表する場ではありません。実際に町議会が開かれる議場で生徒からは質疑や提案、それに対する町からの答弁も行われ、自分たちのまちづくりに対する思いを、直接、町に伝えることができ、議論する場でもあります。昨年はこのまちづくり議会から生徒たちが提案した「ご当地ナンバープレート」を制作する案が採用され、実現に至りました。

高校生ならではの視点が光るユニークな提案

生徒たちは「教育・福祉」、「防災・環境」、「観光・産業」をテーマに3つのグループに分かれて、それぞれまちづくりへの質疑・提案を行いました。

マイクが並ぶ議場の中で、前方に制服姿の中高生たちがマスクを着けて緊張した面持ちで座り、後方の傍聴席にはスーツ姿の大人や私服の人々が資料を見たり見守ったりしている写真

教育・福祉グループ「マラソンで活気あふれるまち南三陸!」

教育・福祉グループからは町の課題として、人口減少や少子化、コロナ禍による子どもたちの体力低下などの課題が提示され、その解決策として、小中高校生をメインターゲットに、大人も参加できるマラソン大会を開催するという提案が出されました。

透明なアクリル板が設置された議場で、制服姿の男子生徒が深く頭を下げて発言の場面に臨んでおり、背後にはスーツ姿の大人たちが静かに見守っている写真
マラソン大会(歩くのもあり!)駆け抜けろ!仲間とともに南三陸を」というタイトルで、町民全員を対象に小中高校生が中心となって行うマラソン大会の提案内容がスライドに表示され、SNSなどで広く参加を呼びかけると書かれており、画面右下に発表中の学生の姿が小さく映っている提案発表の写真

普段何気なく眺めている南三陸町の自然や街並みを、堪能しながら走ることで、町の魅力を再発見してもらい、その魅力を町民同士で共有することで、人口の流出や移住者の呼び込みにつなげたいというのが狙いです。また、町内の子どもたちの肥満率の高さにも触れ、マラソン大会に参加してもらうことで体力の向上や健康増進にも役立てたいと話しました。

この提案に対し、佐藤仁町長から、過去にも町内でマラソン大会が行われていたが、長く続けることで主催者側の負担になって取りやめになった経緯が答弁されました。継続に難しさがある一方、企画課長からは、「これからスポーツはコミュニケーションツールとしてまちづくりに重要な役割を持つと思う。仕組みをどう作っていくかで可能性が広がるので、引き続き意見交換をしていきたい。」と前向きな声があがりました。

防災・環境グループ「だれでもすぐに避難できるまちづくり」

防災・環境グループからは、災害時にだれでもすぐに避難できるまちづくりについて提案が出されました。現在、町内にある避難経路を示す掲示板がその内容や設置数において十分とは言えず、土地勘のある町民以外は分かりにくいと指摘。特に高齢者や子ども、観光客に対して、分かりやすく安全に避難できる環境や工夫が必要なのではないかと訴えました。その中で、防災意識を高めるためのゲームアプリの開発や町内を舞台とした災害シミュレーションを組み込んだ絵本の制作、さらに絵本に登場するキャラクターを避難誘導のシンボルとして活用し、誰でもどこからでも分かりやすく、避難行動がとれるアイデアなどを提案しました。

議場で3人の生徒が立ち上がり、、手元の資料を見ながら真剣な表情で発表に臨んでいる写真
上に「2.避難経路の掲示板を実用的に!」というタイトルがあり、中央に「設置する数を増やし、人の目がつくところに!!」という黄色に強調された提案文があり、下には避難所の案内板がある公共施設前の写真と、電柱に取り付けられた避難方向を示す黄色い標識の写真、そして発表している学生の写真が左下に配置された防災対策の提案スライドの写真

佐藤町長は「土地勘がない人にも分かりやすいものを作ることは大切だ。一人でも多くの命を救うという意味では掲示板の役割は大きい、頂いた提案を素直に受け止めたい。」

総務課長は、「町民向けに対しては防災マップなどを配布していたが、町外の人に対しての啓発活動は不足していた。防災アプリの開発などに力を入れて、町外の人にも避難ルートが分かるような仕組みづくりをしていきたい。」と答弁しました。

観光・産業グループ「若者の観光客増加につながる、自然を生かしたイベントを開催したい!」

観光・産業グループは南三陸に観光で訪れる若者が少ないことに触れ、若者が楽しめる今までにない新しいイベントが必要だと訴え、海上アスレチックの設置を提案しました。

前方に立つ女子学生が発表原稿を読みながら発表しており、後方ではスーツ姿でマスクを着用した複数の人々が資料を見ながらその発表を静かに聞いている様子の写真

海上アスレチックを取り入れ、観光客の増加につながった鳥取県の事例をあげ、南三陸でやれば東北初となり、注目を集め、若者の観光客の増加につながるのではと話しました。

鳥取県のフロリックシーアドベンチャーパーク浦で開催された、海上に設置された大型の遊具で多くの人が遊んでいる様子の写真で、約1ヶ月間の開催で1万923人が来場し、そのうち約40%が県外からの来場者であったという実績を示す事例紹介の写真

海上アスレチックは空気が入った大きなフロート(浮き島)を移動していくアクティビティ。途中には滑り台やトランポリン、ブランコなど様々なアトラクションがあり、若い人や親子連れに人気。

これを受けて、商工観光課長は、「地域の話題性をアップさせる上では、ある程度の集客効果が期待できる。ただ、設置費用や運営費にお金がかかること、そのため入場料を高く設定しなくてはならないこと、漁業者の理解が得らえるか等、総合的に判断して検討しなければならない。現在、町ではサンオーレそではま海水浴場でブルーフラッグ国際認証を目指しており、地域の資源を生かした取り組みも行っているので、高校生のみなさんにもぜひ興味を持って参加してもらいたい。」と答弁しました。

課題を見つけ、ひとつずつ乗り越えていくのが「まちづくり」

議会を終えてホッとしている生徒たちに、佐藤町長は、「地域が抱えている課題を高校生の視点でとらえ、斬新な提案をしてもらい、心強く思っている。課題を解決してもまた次の課題が出てくるのがまちづくりだ。町をよりよくしたいという思いは私も同じ。これからも南三陸町のまちづくりのために協力してほしい。」とメッセージが送られました。

議場で、黒いスーツに赤いネクタイを締めた佐藤仁町長が立ち、マイクの前で発言しており、背後には議長席や撮影用のカメラも見える議会中の写真

生徒たちからは、一同に緊張したという声が上がりましたが、「議会に出て、自分たちで調べきれてないところとかたくさんあって、学びにつながった。」「議会に来るまでは実感がなかったが、町長が自分たちの提案に耳をかたむけ、真剣に答えてくれているのを聞いて、まちづくりに参加しているという感じがした。」と話していました。

議場内で、紺色の制服にネクタイを締めた女子高校生3人がマスクを着けて並び、カメラに向かってまっすぐ立っている高校生の集合写真

みなさん声を揃えて「緊張しました~」

また、マラソン大会を提案した生徒からは、「町長たちからの答弁を聞いて、実施する難しさを感じたが、可能性はあると思っている。もし、実現に向かって動いたら積極的に関わっていきたい。活気あふれる南三陸町になってほしいと思う。」と心強い声も聞かれました。

議場内で、黒い防寒着を着てマスクを着けた男子高校生がカメラの前に立っている写真

南三陸の将来を担う、高校生たち、地域の課題と向き合いながら、これからもまちづくりに積極的にかかわっていってほしいですね。

今回行われた、まちづくり議会の様子はYouTube LIVEでも配信されました。現在、アーカイブ映像としてどなたでもご覧いただけます。

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