
しつこいようですが南三陸は化石の宝庫。
特にペルム紀(3億年前)からジュラ紀(1億5000万年前)にかけての古代生物の化石が多くこれまでも数多くの新種・希少種が発見されています。
9月下旬、新たな化石の発見報告会が開かれると聞き歌津地区平成の森にやってきました。

「我々は町の教育委員会と共同で歌津地区館崎北方に分布する大沢層(約2億5000万年前)に含まれる化石について調査を続けてきました。
その中の重要な発見の一つが今回ご報告する嚢頭類(のうとうるい)化石です。」
(東北大学総合学術博物館 協力研究員(名誉教授)永広昌之先生)

のうとうるい?
聞き覚えがないのも当然、なんと国内では初の発見だそうです。
体長数センチ、節足動物に属しており甲殻類に近いとされていますがその中でどこに分類するかは研究者の間でも意見が割れる、という謎の多い生物です。
白亜紀に絶滅したとみられています。

今回発表された嚢頭類マイクロカリス科の新属・新種の想像復元図
(東北大学総合学術博物館サイトより)
今回の発見は2013年の春頃。
広くない範囲から3属3種・合計およそ200個体がまとまって見つかったとのこと。
国内初の嚢頭類化石発見に加え、1新属・新種、1新種の同時発見という大事件です。
この発見については10月1日、学術誌Paleontological Research誌においても論文が発表されました。
今後さらに研究が進むことと期待されています。

発見現場ではこの日、南三陸ネイチャーセンター友の会(地学部)を含む研究協力者らが調査を行なっていました。


嚢頭類の化石はこの場所のほんの限られたエリアからのみ発見されるそうです。
報道陣が見守る間も次々と新たな化石が掘り出されます。
見せていただくと3センチほどの体に腹部前方の約90度の角がはっきりと見てとれました。

「この地域は貴重な地質資産の宝庫です。
南三陸にはジオパーク構想もあり、世界に誇る学術資源を教育や地域振興に生かすことが重要だと考えます。」(永広先生)

現在歌津コミュニティ図書館 魚竜では発見された嚢頭類化石の一部を展示しています。
追加の調査ではもっと大型の化石も発見されているとのこと、これからの発表が楽しみですね。
(日比谷)
