背景には小さな木造建物と斜めの屋根の倉庫がある砂利の駐車場に側面に青と黄色のラインと「Smart GoTo」などのロゴがある白い送迎バンが停まっていている写真

町民バスを活用したバスデマンド運行

バスの本数不足や運行ルートなど各諸問題に対応するため、町民バスに代わる新しい交通手段として町民バスデマンド運行の実証実験が入谷地区で始まりました。完全予約制、アプリ、タブレット、ICカードなど新しい取り組みがどのように広まっていくのか注目の事業です。

バスデマンド運行出発!

町民バスデマンド運行出発式が7月3日(月曜日)に入谷公民館の駐車場にて行われ、式には佐藤町長をはじめ、実証実験に参加したトヨタ自動車様や林際カーシェア会、行政区長さんや社会福祉協議会の方々が参加しました。

晴れた屋外での式典かイベントで白いテントの下でスーツ姿の大人たちが椅子に座って拍手している写真

町長をはじめ行政区長さんやトヨタからの出席者の皆様

入谷ひがし幼稚園の園児によるお祝いの歌と、テープカットの後に佐藤町長が試乗。

白い送迎バンと階段のある建物の前で、保育士が見守る中、青いスモックを着た幼い子どもたちが並んで立ち、歌をうたっている写真

元気に大きな声で歌を歌ってくれた園児たち

白い送迎バンの前でスーツ姿の男性たちが白手袋をはめて赤白のテープを持ち、一列に並んでテープカットの準備をしている式典の一場面の写真

代表者らによるテープカット

まずは佐藤町長とトヨタ自動車の林田様が乗車し、ICカードも披露され乗車時の実演も行いました。

スーツ姿の男性が送迎バンの後部座席のシートに「南三陸 Smart GoTo」と書かれた赤いタコのマスコット付きの案内板の下に設置されたICカード読み取り機に青いストラップ付きのカードをかざしている写真

乗車の際にICカードを機械にタッチするだけでOK

町内の交通問題

今回この町民バスデマンド運行の取り組みがスタートした背景には、町内の交通機関の諸問題が挙げられます。現在、南三陸町内ではBRTと町民バスを中心とした公共交通機関が整備されていますが、町内全てを網羅しているわけではありません。町民バスは時刻表に伴った運行を続けていましたが、利用者や町民の方から様々な意見が出ていたと佐藤町長は話します。

赤白のテープで仕切られた式典用のスペースに停まっている白いワゴン車の前で、スーツ姿の男性が屋外でマイクを使って話している写真

かねてからの課題だったと話す佐藤町長

「各地域からこっちの時間を早めてほしい、バス停はこっちにしてほしいなど様々なご意見があるのですが、路線という形で運行している関係上、どうしても皆様のご要望全てにお応えするのは非常に難しい問題でありました」

こうした諸問題に対して林際カーシェア会の皆様が自分たちで実証をしようと動き、それが今回の町民バスデマンド運行に繋がったとのこと。利便性が以前よりも上がると言われる「バスデマンド」とは一体どういうシステムなのでしょうか。

そもそも“バスデマンド”とは?

「バスデマンド」はデマンドバスやオンデマンドバスとも呼ばれているサービスになります。

これらを総称し「デマンド型交通」といい、一般的なバスのような決まった路線と運行スケジュールではなく、利用者に合わせた路線とスケジュール(要求=demand)で動く地域公共交通のことを指します。

木製の台にタブレット端末が置かれており、その前には「のりかえタッチカード」と書かれたQRコード付きの緑色のカードが2枚、青いストラップに付けられて机の上に並べられている写真

予約時に使用するタブレットとICカード

南三陸町では「フルデマンド方式」を採用し、利用者の呼び出した場所から目的地まで運行する形式になっており、あらかじめ設定されたバス停から好きな目的地に好きな時間(運行時間内)に移動できることが可能になります。利用するには利用登録者証が必要で、スマートフォンまたは書面にて個人情報や引き落とし口座を登録。公共施設などに設置されたタブレット端末や自身のスマートフォンでウェブアプリを開き「乗る場所」「降りる場所」「日時」を予約すると、指定した時間・場所にバスが迎えに来ます。料金はキャッシュレス対応となっており、スムーズな利用が可能。今後、クレジットカード決済の導入も検討しているそうです。

今回の実証実験では町内各地と一部個人宅に40台のタブレットを設置、ICカードを入谷地区の方々に事前にお配りしているとのことでした。

利用方法の実演

式終了後、入谷公民館内で佐藤町長と町役場企画課の職員による予約方法についてのレクチャーが開かれました。

木製の台にセットされたタブレット端末が机の上に置かれており、画面には「カードを置いて、ボタンを押してください」と表示されていて、タブレットの横には緑色のカードが見えている写真

端末のカメラで読み取るところにICカードを置くところが付いている

実際に見てみると煩わしい操作もなく、画面に出てくる指示に従えば簡単に配車が予約出来るようになっています。

  1. 「おでかけ」ボタンをタップ
  2. ICカードを端末のカメラで読み込む
  3. 目的地を選ぶ
  4. 目的地への行き方を選ぶ(できるだけ早く・出発時刻を指定・到着時刻を指定の中から選択)
  5. 希望する乗車時刻を設定(本日・明日以降6日後まで)
  6. 配車プランが表示され、タップすると予約が確定
タブレットが木製のスタンドに置かれており、画面には「行き先選択」と表示されたメニューが映っている写真

行き先を選ぶ画面

タブレットが木製のスタンドに置かれており、画面には「予約内容確認」と表示されたメニューが映っていて、手前には人の手が写っている写真

予約の確認画面。料金も表示される

また、運行中に新規で追加された予約については、搭載されたAIが行き先までの最適なルートをセッティングしドライバーが確認出来るようになっているとのことで、人的ミスや利用者が予定通りに乗れないなどのトラブルを回避するために機能することが期待されています。

黒いジャケットを着た女性がスマートフォンを持ち、画面にはQRコードが表示されている写真

アプリについて説明するトヨタ自動車東日本株式会社の鈴木様

実証実験の先の展望

今回の実証実験は入谷地区を皮切りに、年度内に歌津地区での運行が予定されています。期間は一年半でその後の展望について佐藤町長は「一番大事なのはこのデマンド交通を“絶対にやらなければならない”ということではなく、町としてこの方向性で進めていくこと。実証実験をした上で「やらない」ということにはならないと思います」と説明。取り組む姿勢として「南三陸町全体の公共交通機関の足をしっかりと確保することが目的ですので、我々も前向きに腹を括って挑戦していきたいと思います」と、今後の町にとって欠かせない交通機関の充実に向けた熱い想いが走り出しました。

木製の壁とカーテンがかかった窓が見える室内で黒いジャケットを着た男性が机に座り、手を広げて話している写真

展望を語る佐藤町長

参照:町民バスのデマンド運行について|南三陸町

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