
戸倉波伝谷地区、「波伝谷仮設入口」の看板から沢沿いをさかのぼると真新しい小屋が見えてきます。
『波伝谷高屋敷ふるさと資料館』です。

木造15坪の館内に波伝谷の自然についての資料や風景写真、震災直後の町を時系列で追った写真などが展示されています。


館長を務めるのは町内出身の鈴木卓也さんです。

鈴木家ではかつてこの場所で『農漁家民宿 かくれ里』を営んでいました。
明治時代に建てられた養蚕農家の屋敷を改修し、宿泊設備と民俗資料館を備えた宿は宿泊客に「かつての暮らしを肌で感じられる」と愛されていたそうです。


津波によって建物と収蔵品の多くが失われてしまったもののふるさとの良さを伝え続ける必然性を感じた卓也さん。
今年4月に『波伝谷高屋敷ふるさと資料館』を開館しました。
(「高屋敷」は以前の屋号だそうです)
「内容もレイアウトもまだまだ準備段階です。
震災前の収蔵品のうち民具・漁具等いくつかは回収できており、東北歴史博物館の協力を受け修復中です。
5月末には戻ってくる予定です。」
資料館はまだ大きな告知をしておらず、入館にも事前予約が必要ですが今後どう利用してもらうかは観光協会や地域の他施設と連携しながら定めていきたい、と卓也さんは言います。
卓也さんのお母様であり、波伝谷高屋敷で生まれ育ったあきよさん(下写真中央)にもお気持ちを伺うことができました。
現在は資料館の案内と語り部を担当されています。

「戸倉の景色やおいしいものを味わった後に立ち寄っていただきたいですね。
かつての『民宿かくれ里』もそんな場所でした。
波伝谷の自然の美しさは以前と変わっていません。
実際に来ていただいて、その目でご覧いただきたいです。」(あきよさん)

波伝谷は去年よりもさらに濃い緑に覆われ、卓也さん設計のビオトーブにはアメンボやオタマジャクシなどの生物が息づいていました。
この場所と資料館に何度も訪れたい、そんな気分になりました。

波伝谷高屋敷ふるさと資料館
旧『農漁家民宿かくれ里』サイト
ブログ『かくれ里でcaranke!!』
(日比谷)
