白い文字で『東日本大震災の記録と津波の災害史』と日本語で書かれている黒い案内板が、コンクリートの壁に取り付けられており、その奥に写真が並んでいる展示室入り口の案内板を写した写真

9月4日。

気仙沼市にあるリアス・アーク美術館にお邪魔してきました

白い文字で『東日本大震災の記録と津波の災害史』と日本語で書かれている黒い案内板が、コンクリートの壁に取り付けられており、その奥に写真が並んでいる展示室入り口の案内板を写した写真

こちらでは現在、常設展示『東日本大震災の記録と津波の災害史』を開催中。
「東日本大震災をいかに表現するか、地域の未来のためにどう活かしていくのか」というテーマで震災直後から2年間の、気仙沼市と南三陸町の様子が記録されています。
常設展は今年度末まで入場無料です。(注意:企画展は一部有料)。

錆びたドラム缶のようなものや金属製の破片が床に並べられ、壁には多数の写真が展示されている展示室の全景の写真

もともと美術展用の部屋だった企画展示室に、当時の様子を写した写真203点と、被災物155点更に歴史資料137点が収められています。
写真は全て、発災直後から調査を続けてきた同館の学芸スタッフが撮影されたもので、その横には撮影所感などが記されたルポ風の説明も記載されています。
写真を見ただけでは分からない、その場の空気、撮影者の感情、が伝わってきます。

壁に掛けられた震災と津波の被害を撮影した写真パネルと、展示物の大きな金属破片のそばで展示物を見ている来館者が写っている展示室の写真

写真中央にある被災物は、大破した洗濯機。中には泥が入っていて当時のままでした。
これらの被災物にも聞き書き風の説明が添えられていて、被災物の背景にある物語が伝わってきます。
そこには「ただ見るだけでなくて、少しでも考えてもらいたい」という意図があるそうです。

震災で崩壊した街並みの巨大な写真パネルと瓦礫の展示が中央にあり、周囲の壁には震災後の風景写真が額装されて展示されている室内展示室の写真

まるで現場にいるようなスケールの大型写真も、3箇所に展示。
目の前に立つと迫力があり、当時の様子を視覚的に感じることができます。

壁一面に震災前後の写真や資料が展示され、ガラスケース内も写真や文書が並び、奥まで展示スペースが続いている様子の写真

こちらは当日お話を伺った学芸員の岡野志龍さん。
「元来、当館の常設展の一部では、地域文化を展示・紹介していました。今後も地域文化を主題の一つとして研究していく上では、今回の震災について触れないわけにはいきませんでした。
震災関連の常設展を新設し、これを後世に伝えるとともに、津波とは切り離せない三陸地域で生きるうえで考えるべきことを提示しています。
関東から四国に掛けては、近年盛んに南海トラフ地震による津波災害の危険性が訴えられていますが、各々が当事者として考える必要があると思っています。
“その時”にまた同じことを繰り返さないために、私達には今回の経験を伝える義務があるとも考えています。」

展示写真の前に立つ学芸員の岡野志龍さんの写真

「被災をされた方、被災をしていない方、遠方の方、そして未来の子ども達に震災のことを正しく伝えていきたいと思ったときに、写真や物品だけでなく、言葉も必要だと感じました。所々に書かれている説明やキーワードはそのためです。
近い将来には展示内容を反映した図録・書籍、減災や防災教育用のテキストを作ることも考えています。」

「水際に生きる」と題された青い展示案内板が雨に濡れた地面に立てられ、その奥に展示施設の入口が見える屋外の様子の写真
霧に包まれた展示施設の外観を高所から見下ろし、赤い監視塔や連絡通路、濡れた中庭と展示入口が確認できる建物全体の様子の写真

「読む」ことの多い展示は、「震災をしっかりと伝える」という使命感の表れでした。
来年の3月までは無料で観覧できますので、是非一度訪れてみてください。
リアス・アーク美術館 常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」

  •  住所 : 気仙沼市赤岩牧沢138-5
  •  開館時間 : 9時30分~17時 (入館は16時30分まで)
  •  休館日: 毎週月曜日・火曜日/祝日の翌日
  •  電話 : 0226-24-1611

(安藤)

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企画課 企画情報係
〒986-0725 宮城県本吉郡南三陸町志津川字沼田101番地
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