遠くに山々が見える海辺の高台に、S字型に曲がりくねった道が通っている右側に沢山の車が駐車している体育館、左側に白い2階建ての家屋が建っている写真

入居開始から3年、町では今もおよそ5,000人が仮設住宅に入居しています。
先日その暮らしについてお話を伺う機会がありました。

遠くに山々が見える海辺の高台に、S字型に曲がりくねった道が通っている右側に沢山の車が駐車している体育館、左側に白い2階建ての家屋が建っている写真

お会いしたのは志津川地区荒砥(あらと)一期仮設住宅にお住まいの吉田雅子さんです。

黄色のレースの暖簾が設置された仮設住宅の入り口を開け、笑顔を見せている吉田さんの写真

埼玉出身の雅子さんは2012年春、ボランティアとして南三陸町へやってきました。
長期滞在中に東北の文化に触れようと町内のよさこいチームに参加。
そこでチームメイトの男性と急接近し、翌年にご結婚されました。

黄緑色の衣装を着た男性と、赤色の衣装を着た女性が並び笑顔でピースサインをしている写真

ご主人の学さんは津波によって荒砥地区のご自宅を失い、仮設住宅に居を移していました。
2013年3月、同仮設内に空き部屋ができたことから夫婦で2DKの部屋に入居。
ご両親のすぐ近くに新居を構えたのだそうです。

4畳半のリビングにお邪魔すると、アルバムやぬいぐるみが飾られていました。

テレビが設置された台の上に、沢山の写真が貼られたアルバムや2体のダッフィーぬいぐるみ、青と赤色の小さなシーサーの置物が飾られている写真

「困ったことですか?玄関の戸が凍ってしまい、お湯で融かさなきゃならないことが何度かありました。
今年2月の大雪の時は建物の間に膝上まで雪が溜まっちゃって、ご近所の皆さんのおかげで脱出できました。」

砂利敷きの細い路地を挟んだ左側に透明の波板が設置された仮設住宅の入り口に一台のバイクが停まっており、右側の住宅の入り口に女性が立っている様子の写真

「住んでみて感じたのは、人々の助け合いが多いことでしょうか。
雪かきのほか、小さな子を地域全体で育てたり海の仕事を皆で手伝ったり、まるで集落全体が大家族みたいなんですよ。」

お裾分けのやり取りも多く、海産物や野菜を一度に何キロもいただくため大型冷凍庫が必須だと雅子さんは笑います。

「普段の買い物にはスーパーの移動販売車が来てくれるのでとても助かっています。
 お休みが合えば主人が車を出し、義父母と4人でお出かけしています。」

雅子さんは現在町内の福祉施設にお勤めしており、夜勤もあるお仕事。
製菓店勤務の学さんをはじめご家族となかなか休みが合わない分共に過ごせる時間を大切にしていると言います。

「晩御飯はなるべく一家4人で食べるようにしています。
 海の人なので、義母も主人も魚料理が得意でおろし方や煮付け方を教えてもらっています。
 夜勤の前日はなぜかご馳走メニューになります(笑)」

そんな彼女の今の心配事は、救急病院が遠いこと。
職場で何人ものお年寄りに接し、医療の重要さを日々感じている雅子さん。
ご家族にも定期的な健診などで体調管理に気を付けてもらっているのだそうです。

吉田家はこれから高台に二世帯住宅を建てる予定とのこと。
「今から楽しみなんです~。」と笑顔を見せてくれました。
ご家族思いの雅子さん、お話をありがとうございました。

プーさんのぬいぐるみや写真パネルが置かれたリビングで、沢山の写真が貼られたパネルを両手で持つ笑顔の吉田さんの写真

(日比谷)

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