
(第一章 第二章)
5月24日日曜日、伊里前で開かれた『田束山つつじまつり福興市』。
会場はお買い物やステージを楽しむ人々でいっぱいです。




そんな賑わいを横目に、筆者は田束山(たつがねさん)山頂行きのシャトルバスに乗り込んでいました。

地域のガイドを育成するプログラム『田束山マイスター養成講座』。
2ヵ月間の講座で田束山の生き字引・小野寺寛先生の教えを受けた筆者はこの日いよいよガイド本番の日を迎えていました。

天気は快晴、適度に風のある好コンディション。
開花が早すぎると懸念されていたつつじもまだ咲いてくれています。
シャトルバスには4名のお客様が乗車されました。
伊里前と田束山山頂を往復する2時間が、今回の担当時間。
はたして新人ガイドはお客様を満足させるご案内ができるのでしょうか…?



結果から申し上げます。
惨敗です。
その日の朝から緊張していた筆者は、集合場所到着時にはパニック状態でお客様の顔を見たとたんに思考が停止。
出るのは声より冷や汗ばかり。
バス移動中から山頂散策の間も満足にお話しすることができなかったのです。
それでも優しいお客様方は「綺麗な山を案内してもらえて嬉しい」と言ってくださいました。
山頂で休憩するという皆様と別れ、へっぽこガイドはケヤキ林へ。
独り消沈しているところへ先輩ガイドの南三陸町観光協会 山田さんの声が掛かりました。

「考えすぎないで知ってることを喋ったらいいんですよ。
田束山はネタの宝庫ですから、どの切り口で話しても楽しんでもらえると思いますよ。」
話しながらウスバシロチョウを観察する山田さん。
その嬉しそうな姿に己を振り返ります。

最初に田束山マイスターを志した時、自分は何を望んでいたでしょうか。
「千年を超える歴史とかカッコいい!」「それを詳しく説明できたらカッコいいよね」
そこには虚栄があったように思います。
そしてそれは田束山だけの話でしょうか。
同様に、この地域全体に対しても邪な心を持ち俗念を満足させるためにブログ記者を続けてきたのではないでしょうか。

今自分に必要なものは恐らく“純粋な探究心”。
それも東北地方一帯の文化・自然に対する探究心です。
「まず、この地域の知識を深めてみよう。」
田束山マイスターへの道は思ったより長くなりそうです。

-続く-
(日比谷)
