白いテントが両側に並ぶ屋外の会場で、多くの人が通りを歩き、色とりどりののぼり旗が風にはためいている晴天の中のイベント会場の写真

(第一章 第二章)

5月24日日曜日、伊里前で開かれた『田束山つつじまつり福興市』。

会場はお買い物やステージを楽しむ人々でいっぱいです。

白いテントが両側に並ぶ屋外の会場で、多くの人が通りを歩き、色とりどりののぼり旗が風にはためいている晴天の中のイベント会場の写真
大勢のお客さんが見ている会場のテント下で、青いかごの中に赤茶色のホヤがたくさん入っている写真
「応援団」と書かれた大きなバッジを胸につけた若い女性が、屋外のテントの前で笑顔で指さしている写真
前の観客たちが見ているなか、屋外ステージで赤や白の服を着た3人が横一列に並び歌っているステージイベントの様子の写真

そんな賑わいを横目に、筆者は田束山(たつがねさん)山頂行きのシャトルバスに乗り込んでいました。

バス停の案内板が設置された砂利の駐車場に、ドアが開いた状態の白い送迎バスが停車している写真

地域のガイドを育成するプログラム『田束山マイスター養成講座』。

2ヵ月間の講座で田束山の生き字引・小野寺寛先生の教えを受けた筆者はこの日いよいよガイド本番の日を迎えていました。

山と空が広がる背景に、右側にカーブする道路上に、赤い花の絵が描かれている「田束山 7キロメートル」と書かれた青い道路標識が立っている写真

天気は快晴、適度に風のある好コンディション。

開花が早すぎると懸念されていたつつじもまだ咲いてくれています。

シャトルバスには4名のお客様が乗車されました。

伊里前と田束山山頂を往復する2時間が、今回の担当時間。

はたして新人ガイドはお客様を満足させるご案内ができるのでしょうか…?

緑の草の中に鮮やかな赤い小さな花がたくさん咲いているツツジの木が太陽の光を浴びている写真
草の間に作られた鳥の巣の中で、孵化したばかりのヒナが口を開けていて、そばにまだ割れていない卵が一つ残っている様子をアップで撮影した写真
森の地面に太陽の光が差し込み、さまざまな形の緑色の葉が重なり合って生えている植物の写真

結果から申し上げます。

惨敗です。

その日の朝から緊張していた筆者は、集合場所到着時にはパニック状態でお客様の顔を見たとたんに思考が停止。

出るのは声より冷や汗ばかり。

バス移動中から山頂散策の間も満足にお話しすることができなかったのです。

それでも優しいお客様方は「綺麗な山を案内してもらえて嬉しい」と言ってくださいました。

山頂で休憩するという皆様と別れ、へっぽこガイドはケヤキ林へ。

独り消沈しているところへ先輩ガイドの南三陸町観光協会 山田さんの声が掛かりました。

日差しを受けた杉の枝葉が風に揺れている様子を、上を見上げた視点で撮影した写真

「考えすぎないで知ってることを喋ったらいいんですよ。
 田束山はネタの宝庫ですから、どの切り口で話しても楽しんでもらえると思いますよ。」

話しながらウスバシロチョウを観察する山田さん。

その嬉しそうな姿に己を振り返ります。

白い立札や木の標識が数本立っている草や木が生い茂る緑の森の中で、一人の人が木漏れ日の差す小道を歩いている写真

最初に田束山マイスターを志した時、自分は何を望んでいたでしょうか。

「千年を超える歴史とかカッコいい!」「それを詳しく説明できたらカッコいいよね」

そこには虚栄があったように思います。

そしてそれは田束山だけの話でしょうか。

同様に、この地域全体に対しても邪な心を持ち俗念を満足させるためにブログ記者を続けてきたのではないでしょうか。

山の上から見下ろす視点で、入り組んだ海岸線や町並みが広がり、遠くに青い海と空がつながって見える写真

今自分に必要なものは恐らく“純粋な探究心”。

それも東北地方一帯の文化・自然に対する探究心です。

「まず、この地域の知識を深めてみよう。」

田束山マイスターへの道は思ったより長くなりそうです。

青空の下、木々に覆われたなだらかな山々が幾重にも重なり、奥の方にはわずかに海も見える自然豊かな風景の写真

-続く-

(日比谷)

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