
9月末の週末、ホテル観洋でのこと。
ソファ席に向かい、地元言葉の女性が民話を語り始めました。

これは『第12回 全日本語りの祭り in南三陸』の一幕。
2年に一度、語りを愛する人々が全国から集うといういわば語り部の強化合宿です。

2泊3日、300名以上が共に過ごすとあってどの語り部さんも強い向上心を持って参加されている様子。
ロビーで実施された分科会『志津川の民話と被災者の話』には仲松敏子さんも所属する『しづがわ民話の会』が登壇。
志津川湾を背景に40名余りが耳を傾けました。

民話や震災体験以外にも語りの種類は多彩です。
同じ頃、ホテル内の客室では「高齢者への紙芝居と語り」「乳幼児に語る」等部屋ごとに違うテーマで分科会を実施。
どの方も客室を行き来しつつ、語りの腕を磨きあっていました。


その後一同が会した全体会。
南三陸に暮らす4人の方が登壇し、それぞれから見た『復興』を語りました。

行山流水戸辺鹿子躍(ぎょうざんりゅうみとべししおどり)保存会会長 村岡賢一さんからは鹿躍復活の軌跡と未来への決意が語られ、会場より激励の拍手が贈られました。


『全日本語りの祭り』は1992年より始まり、これまで関東・東北・沖縄など各地で開催されてきました。
第12回の舞台に南三陸町が選ばれたのは「いま語りの力を感じさせられる場所だから。」
震災後、他地域から町へ応援に入った語り部さんたちが目にしたのは自らの痛みを語りに代える人々の姿だったそうです。
語ること・聴くことが双方への安らぎとなっている様に『語り継ぐ』ことの力を実感。
東北の更なる復興を願い、今回の開催へと結びついたのだといいます。

「南三陸のベテランの方はもちろん、若い方たちの奮闘ぶりも聴かせてもらえました。」
「どちらが励まされているのかわかりませんね。」
2泊3日の期間中、学びの時間は夜遅くまで続いたそうです。
今回のお祭りが語り部の皆さんへの、また復興への大きな糧となりますように。
NPO法人 全日本語りネットワーク
サイト http://www.japankatarinet.jp/index.htm
(日比谷)
