平成22年3月8日(月)、平成22年南三陸町議会定例会において町長が表明した、施政方針です。

施政方針

 我が国の経済は、昨年来の「100年に一度」と言われる世界的な不況の影響を受け、景気の低迷が長期化しており、国の度重なる経済活性化に向けた取り組みにより、景気の底割れ局面も回避されつつあるとの見方もあるものの、実状としては、広範囲にわたる企業の業績不振、雇用情勢の悪化やデフレ懸念などの悪循環に陥り、容易に抜け出せない深刻な状況となっており、今後の不透明感はこれまで以上に高まっております。
国及び地方財政の悪化や急速な少子高齢化の進展、中央集権的な時代から地方が主役となる地方主権への変革期に加え、昨年8月に行われました国政選挙においては、政権政党が交代するなど、私たちを取り巻く社会環境は、まさに大きな転換期を迎えております。
さて、このように経済情勢が依然として厳しい状況下で迎える新年度は、本町合併5周年という節目の年となります。
これまで取り組んでまいりました新町建設計画及び総合計画に基づく町づくりを礎として、時代の流れを的確に捉えながら、常に町民サービスの向上を意識し、本町の更なる飛躍と充実のため、これまで以上に身を引き締め、山積する行政課題を着実に解決していかなければならないと考えております。
本町を取り巻く情勢が大きく変貌し、厳しさが増しつつある中ではありますが、どのような時代であっても行政活動の停滞を招くことは決して許されないことから、町の将来像「自然・ひと・なりわいが紡ぐ 安らぎと賑わいのあるまち」実現のため、町民の視点を基本とし、本町の持つ潜在能力をさらに発揮し、安らぎと活力に満ちた「光る!輝く!南三陸町」の構築を図ってまいりたいと考えております。

■安全安心のまちづくりの推進

 今後20年以内に発生すると予想される宮城県沖地震への対応策を積極的に進めていくことが当地域最大の課題であります。町民の生命、財産を守り、子供からお年寄りまで健やかで安心して暮らせるまちづくりを進めるため、これまで防災関連施設の整備をはじめ、自助・公助・共助による地域防災力の強化に取り組んでまいりました。本年度は、チリ地震津波復興50周年にあたることもあり、災害の恐ろしさを風化させないためにも、更なる防災意識の啓発に意を用いていくことが重要と認識しております。有事の際に地域防災が確実に展開できるよう、引き続き自主防災組織の設立と活動支援を図るとともに、木造住宅耐震診断助成事業及び木造住宅耐震改修工事助成事業につきましても、耐震強化への喚起として積極的な活用の促進を図るなど、住民の安全確保に関する施策を展開してまいりたいと考えております。
また、災害発生時に逸早く緊急情報を的確にかつ迅速に提供し、災害の甚大化を未然に防ぐ有効手段として期待されます防災行政無線のデジタル方式による更新整備を行うほか、継続的に取り組んでまいります海岸保全施設の防災機能強化といたしまして、水戸辺漁港陸こう整備事業を実施し、消防・防災機能の充実として、長清水、石泉及び港地区への防火水槽の設置、小型動力ポンプ及び小型動力ポンプ積載車の更新並びに計画的に整備してまいります災害備蓄物資の確保など、より安全で安心なまちづくりの推進に努めてまいります。

■集いと賑わいのあるまちづくり

 集いと賑わいのあるまちづくりの実現のためには、本町の基幹産業である農林水産業や商工業などの地域経済の活性化が極めて重要であると認識しております。
本町には、優れた自然景観や全国に誇れる水産物、農産物など、質の高い地域資源が数多く、これら豊かな地域資源の活用と交流により活力ある産業づくりを進めるために、引き続き農林水産業基盤の整備と安定した就業基盤づくりを支援するとともに、新たな観光戦略の展開や起業活動などを支援し、地域経済の活性化と雇用の確保に努めなければならないと考えております。
三陸縦貫自動車道の整備延伸に伴い仙台圏を中心とした都市部との時間距離は確実に短縮し、人的・物的な交流は益々盛んになり、そのスピードは加速度を増しております。毎年、本町を訪れる年間100万人の観光客をはじめとする交流人口の拡大は、地域資源或いは観光資源のブランド化を強力に後押し、地域経済の活性化を大いに助長するものと期待され、その実現に向けた観光戦略の更なる推進が大変重要であると認識いたしております。
子ども農漁村交流プロジェクト事業を契機として本町への期待感が大いに高まっております「教育旅行」の受け入れ態勢の整備につきましては、ホストファミリーとして民泊へのご理解を賜りました町民皆様のご協力により、その誘致につきましては、南三陸町観光協会を中心といたしまして滞りなく進んでおります。町といたしましても今後、交流人口の増加に伴う観光ニーズの増加も確実視されますことから、入湯税を活用した観光の振興及び環境衛生施設の整備充実を目的といたしました観光振興等基金を設置し、今後の観光ニーズへの対応を図ってまいりたいと考えております。
続いて、農業振興につきましては、施設園芸、畜産及び野菜等を中心に農協などの関係機関と連携を密にし、農産物の一層の産地化や地産地消に向けた取り組みを推進し、昨年度導入いたしました緑豊かで活力あるふるさと創造基金を活用した「ふるさと緑の創造事業」を引き続き実施し、遊休農地解消に努めるとともに、重点分野雇用・地域人材育成事業の活用による営農活動等を通じた実践・研修による人材育成につきましても取り組んでまいります。さらに、農業経営への支援策として農業系廃棄物資材処分費用に対する助成制度を創設し、美しい農村環境づくりと農村地域の活性化にも取り組んでまいります。
林業振興につきましては、森林に対する意識・価値観は多様化しており、今日におきましては、森林を環境面から捉える傾向が強くなってきております。地球温暖化や災害防止機能等の森林が有する多面的機能を発揮するため、今後とも関係機関との連携を図りながら、総合的な森林整備や森林環境保全を推進するとともに、重点分野雇用・地域人材育成事業の活用による林業の担い手育成につきましても行ってまいります。
水産業の振興といたしましては、漁業資源の減少、漁場生産力の低下に加え、従事者の高齢化や後継者不足など水産業を取り巻く環境は、依然厳しいものがあります。引き続き「獲る漁業」から「つくり育てる漁業」への資源管理型漁業を一層推進し、漁業資源の回復や漁場環境の改善、漁村の活性化を図るとともに、生産から流通、加工まで一貫した管理による食の安全も意識した総合的な観点からの施策に取り組むことが必要であると認識しております。
本年度は、安定した就業基盤づくりの支援策といたしまして、「農漁業近代化資金利子助成制度」の強化拡充を図り、設備投資が厳しい状況にある漁業者の支援を行うとともに、農業経営への支援策と同様に美しい漁村環境づくりの推進を図るため、漁業系廃棄物資材処分費用に対する助成制度を創設し、漁業環境の向上にも努めてまいります。
また、本年度も安全で効率的な生産活動が図られるよう、ばなな、石浜及び稲淵の3漁港を継続して整備するほか、荒砥漁港の防波堤改良、滝浜漁港の船揚場改良並びに藤浜漁港の護岸改良に着手し、漁港機能の強化と漁港環境の保全にも取り組んでまいります。
次に商工振興についてであります。経済不況の極めて深刻な状況により、地域経済を支える町内企業は、かつてない程の厳しい経営環境に置かれております。また、雇用情勢の悪化は町民の日々の暮らしを揺るがす大きな不安にもなっておりますことから、企業の経営安定と雇用の確保を図ることのできる施策の展開が非常に重要と考えております。
本年度におきましては、商工会等との連携を密にし、町振興資金制度の継続的な活用と地域経済活力創出基金を活用した事業の展開といたしまして、これまで製造業種に限定しておりました企業立地奨励金制度の対象業種を観光、医療、福祉関連事業等の分野まで拡大を図るほか、新たな産業分野に意欲的に取り組もうとする起業家を支援するため、新たな「起業支援補助金」制度を創出いたします。また、地元雇用の促進と雇用する企業支援の観点から「新規学卒者雇用促進奨励金」の助成金額の拡大を図り、中小企業者の支援策を展開してまいります。
さらに、既存商店街の振興対策といたしまして「商店街にぎわいづくり戦略事業」への取り組みを支援し、商店の活性化にも努めてまいります。
雇用対策につきましては、引き続き雇用情勢の安定化に相当の危機意識をもって取り組む必要があると認識しております。地域雇用の改善を図るべく、国の経済対策の一環として「ふるさと雇用再生特別事業」及び「緊急雇用創出事業」を活用した事業展開を行ってまいりましたが、この取り組みを継続的に推進するとともに、事業分野の重点化と人材育成といった新たな機能を付加した「重点分野雇用・地域人材育成事業」への取り組みを進め、また、高卒者の就職環境が非常に厳しいことから、新規高卒者の未就職支援策といたしまして、町として2名の臨時雇用を実施し、利用者が増加しております町職業紹介センターにおきましても、きめ細かな相談、指導に努めながら、安定的な職の確保に努めてまいります。

■みんなで支えあう健康のまちづくり

 はじめは、健康づくりの推進についてであります。誰もがいきいきと暮らせるまちを築いて行くためには、行政に課せられた責務を着実に果たしていくとともに、一人ひとりの力や地域の力も併せて、みんなで共に支え合う基盤づくりが重要であります。元気、活力の源は、何と言いましても健康であります。策定いたしました「健康増進計画」を踏まえ、総合的な健康づくりへの取り組みを進めてまいります。
また、少子高齢化が進む中、子どもを安心して産み育てることができる環境整備と子どもの健全な育成と子育て支援の充実を図るための取り組みが求められております。昨年度に14回といたしました妊婦健康診査に係る助成につきましては、継続して実施することとし、周産期医療、助産師制度の導入に向けた取り組みを関係機関との連携を図りながら進め、妊娠時期における健康と安全の確保に努めてまいります。更に本年度は、子育て支援拠点施設の本格的な整備に向けた取り組みとして、志津川保育所の建て替えを基本に、子育て支援センター及び学童保育施設の機能充実も視野に入れた整備に着手してまいります。
次に、高齢者福祉の推進につきましては、高齢者の方々が住みなれたこの町で安心して暮らしていけるよう高齢者福祉の増進及び充実に努め、みんなが明るく安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。本年度は、民間社会福祉法人が施設整備を進めます特別養護老人ホーム建設への支援を行うとともに、地域が支えあう仕組みづくりの一環といたしまして、雇用情勢の厳しい環境への対応策として2級ヘルパー養成講座をふるさと納税寄附金の活用により継続して開催することとし、人づくりを通じた高齢者を支える優しいまちづくりに努めてまいります。
また、乳幼児医療費に係る助成につきましては、これまで4歳未満児までといたしておりました外来の助成範囲を、入院と同様に就学前までに拡充を図り、引き続き乳幼児期における適正な医療機会の確保と子育て家庭における経済的負担の軽減に努めてまいります。
障害者福祉につきましては、自立に向けた支援サービス提供の基盤整備と利用者ニーズを的確に把握するとともに、地域生活における支援と就労に向けた支援等を行ってまいります。また、4月より町内の小規模福祉作業所が障害者自立支援法の適用を受けた法定施設に移行することとなっております。利用者や保護者の皆様が移行に際し、不安等の懸念がないように町としても支援してまいりたいと考えております。
病院経営につきましては、地域医療の中核としての責務を果たすべく、「公立志津川病院改革プラン」に基づき、経営の健全化に取り組んでまいりましたが、常勤医師1名の退職もあり、更なる経営の効率化が求められております。診療報酬の改定などの医療環境を取り巻く今後の動向にも注視しながら、引き続き経営の健全化に努めてまいります。

■環境と調和したまちづくり

 人にとりまして自然環境は、現在及び将来にわたり生存するために欠かすことのできない守るべき基盤であります。特に水産業や観光業を基幹産業として地域振興を図っている本町にとりましては、あらゆる政策を進めていく上で、地域環境の保全は常に意識していかなければならないと考えております。
現在、策定を進めております「環境基本計画」に基づき、環境保全及び創造に関する施策を推進し、本町の恵み豊かな自然の中で、より快適な生活を営んでいただくため、日々の暮らしを支える基盤の整備を進めるとともに、自然と共存した環境にやさしいまちづくりを推進してまいります。
道路交通網の充実につきましては、三陸縦貫自動車道の整備延伸とあいまった町道の整備促進を着実に推進する必要があります。主要幹線道路の整備といたしましては、本年度が完了年度となります町道汐見9号線及び石泉線の改良事業を継続して推進するほか、次期における主要幹線道路として整備することとしております入谷横断1号線の事業化に向けた取り組みを国の道路関連施策との調整を図りながら、早期の実現に努めてまいりたいと考えております。また、生活に密着いたします路線につきましては、緊急性等を考慮し、引き続き計画的に整備してまいります。
地上デジタル放送に対する取り組みといたしましては、完全移行まで残すところ1年あまりとなり、また、共聴施設における改修整備が概ね完了の見込となりましたことから、地デジ電波の受信調査に基づき、なお受信環境の整備を必要とする場合に要する費用について助成する制度を創出し、難視聴地域の解消に向け取り組んでまいりたいと考えております。
次に、安全な水の供給についてであります。上水道施設につきましては、安定的に良質で安全な水の供給に努めるため、老朽化した水道管の更新事業を引き続き実施いたしますとともに、水道事業業務の一部民間委託を開始しておりますが、本年度は、委託の範囲に水道施設維持管理、水質検査業務を加え拡大を図り、更なる健全で効率的な事業運営と良質なサービスの提供に取り組んでまいります。
公共下水道につきましては、適正な維持管理運営を図りながら、昨年度、実施いたしました住民意向調査の結果を分析するとともに、今後の整備計画につきましては、環境保全の観点も考慮し、合併浄化槽設置事業との調整を含め、引き続き検討を進めてまいります。

■知性と豊かな心を育むまちづくり

 教育行政につきましては、教育委員会との連携を密にし、学力の向上を図るとともに、生きる力を育む学校教育の充実と安全で安心な教育環境の実現を目指してまいります。
また、次代を担う子どもたちの健全育成を図るとともに、子どもから大人までが創造性を持ち、個々の能力を伸ばしながら、生きる力を育んでいくためには、教育環境の整備、充実が必要となります。
老朽化した教育施設の計画的な整備として戸倉小学校屋内運動場の整備に取り組み、子どもから大人まで皆が楽しく学習できる良好な教育環境づくりを進めてまいりますが、建設期間中におきましては、戸倉小学校の児童、保護者の皆様にはご不便、ご心配をおかけしないよう十分に配慮してまいります。
給食事業につきましては、統合いたしました南三陸町給食センターにおいて、順調に給食の提供を行っております。引き続き、地元食材も取り入れながら、食育の推進に取り組み、安全で安心な給食の提供に努めてまいります。
次に、生涯学習の推進であります。策定いたしました「生涯学習推進計画」に基づきまして、心の豊かさや生きがいを求め、多くの町民が生涯学習に取り組むことができるよう、多様化する学習ニーズにも柔軟な対応が図られるよう取り組んでまいります。さらに、図書館につきましても、引き続き適正な蔵書管理を行うとともに、町民の生涯学習の拠点としての機能面の充実も図りながら魅力あふれる図書館づくりを進めます。
また、スポーツ・文化振興につきましては、効率的で合理的な財政運営に向けた取り組みの一環として推進してまいりました指定管理者制度を平成の森管理業務に導入することとしており、民間ノウハウの活用・効果に大いに期待しているところであります。
なお、平成の森管理業務をもって、指定管理者制度への移行は概ね完了することとなりますが、今後におきましても、適正な管理運営とサービスの向上が図られるよう努めてまいります。

■参加と協働が活発なまちづくり

 私たちを取り巻く社会環境は、住民ニーズや個人のライフスタイルの多様化を背景に地域社会の持つコミュニティ機能の低下をもたらし、新たなコミュニティスタイルの形成が必要な時期を迎えております。
地域は、社会環境の変化に対応しながら、コミュニティとしての機能を維持していくため、地域間の連携や住民相互の関係を強化する取り組みを進めなければなりません。
平成22年度におきましては、策定いたしました「協働によるまちづくり基本指針」に基づき、町民と行政もこれまでの枠にとらわれず、持っている知恵や技術、経験、情報などを十分に生かして、それぞれが担うべき役割を十分に認識し、共に支えあう取り組みを積極的に推進し、協働のまちづくりモデル事業等の導入を図りながら、住民意識の高揚と地方分権型社会の構築を目指してまいります。
また、本年度は、男女共同参画推進計画の策定にも着手してまいります。

■戦略的な地域経営の展開並びに行財政改革の続行

 合併から5年を迎え、更なる本町の発展に向け、様々な施策の展開にあたりましては、健全性と弾力性を兼ね備えた財政基盤の構築が不可欠であります。
これまでも経営的感覚を常に意識しながら、合理的で効率的な行財政運営に努めてまいりましたが、現下の社会経済情勢及び国の将来展望なども勘案いたしますと、これまで進めてきた行政改革の成果を最大限発揮しても、さらなる財政運営の健全化のための取り組みが必要であると認識しております。
本町の財政状況は、国における雇用対策や地域経済の活性化に向けた取り組みにより、一時的にではありますが、改善しているかのように見て取れますが、変革のスピードが著しい時代にあっては、即応できる体力づくりが非常に重要であります。引き続き今後の行財政運営にあたっては、このことを踏まえ、自治体運営のビジョンであります「集中改革プラン」の具現化に向け、民間委託の推進等行財政改革を続行するとともに、総合計画に基づく政策・施策については、町民ニーズや事業効果、緊急性等を考慮した実施計画を策定し、計画と財政の調和を図りながら行政運営を行ってまいります。


 

以上、当面する課題を含め、町政運営の基本的な考え方を申し述べさせていただきましたが、これら各種施策につきましては、可能な限り平成22年度予算に盛り込み、具体化させてまいります。