安全・安心なまちづくり条例について
南三陸町安全・安心なまちづくり条例を制定しました
東日本大震災を経験した南三陸町として、今後、災害への対応といったことに限らず、安全・安心なまちづくりを町民の方々などと更に推し進めていくに当たり、その基本とする主要な事項について条例により定め、明らかにするものとして、意見公募手続(パブリックコメント)なども実施しながら制定に向けた手続を進めていた「南三陸町安全・安心なまちづくり条例」については、平成26年9月の南三陸町議会定例会に付議し、可決され、平成26年9月17日に平成26年南三陸町条例第21号として公布されました。
この条例の施行日は、一部(安全・安心なまちづくり推進会議に関係する部分)を除き、平成26年10月1日となっています。
条例制定の背景(条例前文について掲載します)
平成23年3月11日午後2時46分、国内観測史上最大の規模となる東北地方太平洋沖地震が発生した。この地震は、広く一般に普及した想定を遥かに超える規模の大津波を発生させ、この大津波は、正に人知を超えた猛威を振るい、多くの尊い人命、財産を一瞬にして奪い去り、かけがえのない私たちのふるさとに未曽有の被害をもたらした。原子力発電所の事故をも生み、後に東日本大震災と呼ばれることとなったこの災害は、南三陸町、宮城県のみならず、太平洋沿岸の各地域、そして我が国に甚大な被害、影響を及ぼし、私たちは、自然に対する人の無力さ、自然に立ち向かうことの限界を改めて痛感した。
こうして記憶される自然災害に加え、私たちの日々の暮らしには、都市化や人間関係の希薄化が進むにつれ増加し凶悪化する犯罪、生活環境の利便性が向上するにつれ増加し重大化する事故といった危険も存在する。これらは、各個人の力では到底防ぎきれず、人類の共通した願いである安全で安心できる日々の暮らしを脅かすものとして、今この時も存在する。
私たちの生命、財産及び暮らしを守るためには、安全で安心できるまちづくりについて、私たち自身が考え、積極的に、かつ、協働して進めていかなければならず、それこそが、未来の命、暮らしをも守ることにつながると確信する。そしてまた、そうしたまちづくりを、東日本大震災により大きな被害を受けた私たちだからこそできると信じ進め、発信していくことは、東日本大震災の発生後において全国、世界中から寄せられた数え切れないほどの支援に応える使命であると考える。
よってここに、未来にわたり海、山と共に生き、誰もが安心して暮らせる安全なまちの創造を実現するため、この条例を制定する。
条例の目的や基本理念
目的
この条例は、安全・安心なまちづくりに関し必要な基本理念を定めること、町と町民・事業者の役割を明らかにすること及び安全・安心の確保と推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、現在と将来の町民の方々が安心して暮らすことのできる地域社会を実現することを目的としています。
安全・安心なまちづくり
この条例では、「安全・安心なまちづくり」について、「災害による被害の防止及び軽減並びに犯罪及び事故の防止に関する活動、環境の整備その他の安心して暮らすことができる安全な地域社会を築くための取組」をいうものとして定義しています。
基本理念
この条例では、安全・安心なまちづくりは町と町民・事業者の相互の協力により、次の事項を基本として推進されなければならないものとして定めています。
- 町と町民・事業者の自主性が発揮され、それぞれが持つ能力に応じた適切な役割の分担及び相互の連携が図られること。
- 町と町民・事業者が、自らの安全は自らが守るといった意識を基本とし、過去の災害、犯罪及び事故から得た教訓を日常の活動に生かし、非常時に備えること。
- 安全・安心なまちづくりを次代の社会に伝承していくこと。
町と町民・事業者の役割
この条例では、安全・安心なまちづくりにおける町と町民・事業者の役割について、次のように定めています。
町の役割
町は、町民や事業者などと連携を図りながら、次の施策を常時・継続して実施することとします。
- 町民や事業者などに対する安全に関する意識の啓発及び必要な情報の提供
- 町民・事業者が自主的に実施する安全に関する活動への支援
- 安全な地域社会の実現のための環境整備
- その他この条例の目的を達成するために必要な施策
なお、町の一般職の職員は、安全に関する知識及び技術の習得に努め、地域における安全・安心なまちづくりに関する活動に積極的に参加するよう努めるものとしています。
また、安全・安心なまちづくりに関する施策の策定及び実施に当たっては、子どもや高齢者、障害者、女性、観光客、外国人などに配慮しなければならないこととしています。
町民の役割
町民の役割について、次のように定めています。
- 安全・安心なまちづくりへの理解を深め、日常の生活において自らの安全の確保に努めるとともに、相互に協力して、地域における安全・安心なまちづくりに関する活動に積極的に取り組み、町が実施する安全・安心なまちづくりに関する施策に協力するよう努める。
- 非常時においては、相互に協力し、自ら積極的に活動するよう努める。
なお、町民は、子どもや高齢者、障害者、女性、観光客、外国人などのプライバシーの確保・個人情報の保護に配慮しつつ、これらの方々が地域において安心して暮らすことができるよう配慮するとともに、非常時においては、これらの方々のうち特に支援を要する方への支援の実施について努めることとしています。
事業者の役割
事業者の役割について、次のように定めています。
- 事業活動の実施に当たっては、安全の確保に努めるとともに、地域社会を構成する一員として地域における安全・安心なまちづくりに積極的に参画し、町が実施する安全・安心なまちづくりに関する施策に協力するよう努める。
- 非常時においては、保有する能力を町民の安全の確保のために提供するよう努める。
なお、事業者は、子どもや高齢者、障害者、女性、観光客、外国人などのプライバシーの確保・個人情報の保護に配慮しつつ、これらの方々が地域において安心して暮らすことができるよう配慮するとともに、非常時においては、これらの方々のうち特に支援を要する方への支援の実施について努めることとしています。
南三陸町安全・安心の日
この条例では、広く安全・安心なまちづくりについての関心と理解を深めるとともに、東日本大震災から得た教訓を伝承するため、毎月11日を「南三陸町安全・安心の日」と定めています。
町は、この安全・安心の日には、その趣旨にふさわしい事業を実施するとともに、町民・事業者による各種活動を推進するよう努めることとしています。
訓練の実施
この条例では、町は、毎年1回以上、町民や事業者などが参加する地震・津波の発生その他非常時に対応するための訓練を主催しなければならないこととしています。
町民・事業者は、この訓練に積極的に参加し、非常時において自らを守る「自助」、非常時において地域社会がお互いを守る「共助」の仕組みづくりとその確立に努めることとしています。
なお、この訓練の一つとなる南三陸町の防災訓練は、平成26年度以降、11月5日(津波対策の推進に関する法律第15条に定める津波防災の日)以後に初めて訪れる日曜日(ただし、その日曜日に選挙が執行されるなど極めて特殊な事情がある場合は、その日曜日の次の日曜日)に実施することと決定(平成26年6月5日付け庁議決定)しています。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。www.town.minamisanriku.miyagi.jp/index.cfm/7,5123,34,314,html
安全・安心なまちづくり推進会議と地域安全指導員
この条例では、安全・安心なまちづくりに関する基本的な事項を総合的に審議するための町長の附属機関として「南三陸町安全・安心なまちづくり推進会議」を、町民・事業者への安全・安心なまちづくりに関する意識の普及啓発などを行うための非常勤特別職として「南三陸町地域安全指導員」をそれぞれ置くことを定めています。
なお、南三陸町安全・安心なまちづくり推進会議については平成26年11月1日、地域安全指導員については平成26年10月1日を施行日としています。
安全・安心なまちづくり推進会議
- 推進会議の委員について 推進会議の委員は、防災、防犯、交通安全その他安全・安心なまちづくりに関する業務や活動を行う方のうちから10人以内を町長が任命します。この任命に当たって、町長は、児童・生徒の保護者にある方を任命するなどして、委員の年齢や性別などに偏りがないよう配慮することとしています。
- 推進会議の委員の任期について 推進会議の委員の任期は、2年としています。
地域安全指導員
- 指導員について 指導員は、安全・安心なまちづくりに関する知識と実行力を有する方のうちから10人以内を町長が任命します。
- 指導員の任期について 指導員の任期は、3年としています。
南三陸町安全・安心なまちづくり条例全文
南三陸町安全・安心なまちづくり条例の全文については、こちらのファイルをご覧ください。
南三陸町安全・安心なまちづくり条例(平成26年南三陸町条例第21号) [113KB pdfファイル]