○南三陸町中小企業・小規模事業者等振興基本条例

平成30年6月25日

条例第19号

南三陸町は、分水嶺に囲まれ親潮と黒潮の潮目にほど近い志津川湾・伊里前湾を抱きかかえ、リアス海岸が織りなす美しい景観の中で、修験の場でもあった多くの山々が清らかな川をつくり、里や海を育んできた町です。また、ヤマセや汐風はやわらかに森の木々を育んできました。その自然の豊かな恵みの中で人々は強い絆を結び、時代時代の厳しい環境に合わせ、共に生業や伝統を紡ぎながらしなやかにたくましく暮らしてきましたが、東日本大震災の発生で町は壊滅的な被害を受け、普通の暮らしがいかに貴重なものかを痛感させられ、私たちに何ができるのかを問い続け、これからも愛する町と共に生きる思いを改めて強くしました。

今後も更に真の復興に向かっていくためには、様々な分野で始まった新たな取組を継続し、本物を貫き続け、多様な交流を生み出し新たな価値を創造していくこと、地域の生業や文化の発展に貢献してきた中小企業・小規模事業者がこれまで以上の自覚と責任を持ち、町民や地域社会から信頼され続けることが大切になります。

町民が生き生きと働き、夢を語れるような町であるために、厳しい環境にある南三陸町が希望と誇りある町であり続けることを目指して、町、中小企業・小規模事業者、経済団体、学校、金融機関及び町民ほか関係者との協働で地域の振興を図るため、ここに「南三陸町中小企業・小規模事業者等振興基本条例」を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、町の中小企業・小規模事業者等の振興に関する施策(以下「振興施策」という。)に関する基本理念、基本的施策等を定めるとともに、町、中小企業・小規模事業者、経済団体、学校、金融機関及び町民の役割を明らかにすることにより、振興施策を総合的に推進し、もって、町の経済の健全な発展を図り、町民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する中小企業者で、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 小規模企業者 法第2条第5項に規定する小規模企業者で、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 地域事業者 中小企業者及び小規模企業者並びに町内において営利の目的をもって生産活動又は経済活動を行う全ての者をいう。

(4) 経済団体 商工会、農業協同組合、漁業協同組合、森林組合その他地域産業の振興を目的とする団体をいう。

(5) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校をいう。

(6) 金融機関 銀行、信用金庫その他の金融業を行うものをいう。

(基本理念)

第3条 地域事業者の振興は、次に掲げる基本理念にのっとり推進されなければならない。

(1) 中小企業者等の自らの創意工夫と自主的な取組を尊重すること。

(2) 本町の産業構造の特性に配慮すること。

(基本的施策)

第4条 町は、第1条の目的を達成するため、前条の基本理念に基づき、次に掲げる施策を行うものとする。

(1) 地域事業者の経営基盤の強化に関する施策

(2) 地域事業者の技術力及び経営力の高度化に関する施策

(3) 地域事業者と経済団体、学校及び金融機関との連携強化に関する施策

(4) 地域事業者の事業活動を担う人材の確保及び育成、その定着の推進に関する施策

(5) 地域事業者の新たな事業活動の推進に関する施策

(6) 地域事業者に関する情報発信の強化に関する施策

(7) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要と認める施策

(町の役割)

第5条 町は、前条の基本的施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な調査及び研究を行い、財政上の措置を講ずるものとする。

2 町は、振興施策を実施するに当たっては、国、宮城県その他の地方公共団体、地域事業者、経済団体、学校、金融機関及び町民と協働し、効果的に実施するように努めるものとする。

3 町は、工事の発注並びに物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、地域事業者の受注機会の増大に努めるものとする。

(地域事業者の努力等)

第6条 地域事業者は、地域社会と調和するよう十分配慮しながら、創意工夫及び自主的な取組により、経営基盤の強化、人材の育成、地域からの雇用の促進及び雇用環境の充実に努めるものとする。

2 地域事業者は、地域の将来を担う人材を育成するため、町内の学校と連携し、職業への理解の向上及び体験学習の充実に努めるものとする。

3 地域事業者は、町内において生産され、製造され、又は加工される産品及び町内で提供される役務を利用するよう努めるものとする。

4 地域事業者は、地域社会における責任を自覚し、振興施策及び経済団体が行う地域事業者振興のための事業(以下「振興事業」という。)に、積極的に協力するものとする。

(経済団体の役割)

第7条 経済団体は、地域事業者の努力を促し、かつ、創意工夫の取組を支援するものとする。

2 経済団体は、人々が集うにぎわいの場の再生と創造を目指し、町が行う振興施策に積極的に協力するとともに、振興事業を積極的に推進するものとする。

(学校の役割)

第8条 学校は、自主的に児童、生徒及びPTAに対し、地域事業者の事業活動が町の発展に貢献していることへの理解を深めるよう促し、振興施策及び振興事業への参加に配慮するよう努めるものとする。

2 学校は、児童及び生徒に対し、地域事業者と協働して職業に関する理解と体験の機会を提供し、一人一人の勤労観、職業観の形成及び地域の将来を担う人材の育成に努めるものとする。

(金融機関の協力)

第9条 金融機関は、地域事業者が経営の革新、経営基盤の強化に取組むことができるよう、円滑な資金供給、経営相談等の支援を行うなど、地域事業者の成長発展に協力するように努めるものとする。

(町民の理解と協力)

第10条 町民は、地域事業者の振興が町民生活の向上と地域社会の安定に果たす役割を理解し、振興施策及び振興事業への参加をするなど、地域事業者の健全な発展と育成に協力するよう努めるものとする。

(委任)

第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、平成30年7月1日から施行する。

南三陸町中小企業・小規模事業者等振興基本条例

平成30年6月25日 条例第19号

(平成30年7月1日施行)