〇環境保全型農業とは、「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくりなどを通じて化学肥料、農薬の使用などによる環境負荷の軽減に配慮した持続的農業」です。

 

〇環境保全型農業直接支払交付金の概要

環境保全型農業直接支払交付金とは、農業者の組織する団体等が実施する化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化防止や生物多様性保全等に効果の高い農業生産活動等に取り組む場合に支援を実施する制度のことです。

 

〇対象農業者

支援対象者は、化学肥料・化学合成農薬の5割以上の低減又は有機農業を行う作物について、販売を目的に生産する農業者です。

 

なお、平成27年度から、申請は「主作物について販売を目的として生産を行う農業者のグループ」が基本となり、原則として個人での申請はできません。

 

〇対象となる農地

農業振興地域内(農業振興地域に関する法律第6条第1項により指定された地域)の農地

 

〇事業要件

申請者は、「自然環境の保全に資する 農業の生産方式を導入した農業生産活動の実施を推進するための活動」として以下に掲げる活動のうち、いずれか1つ以上を実施する必要があります。

 

・自然環境の保全に資する農業の生産方式を導入した農業生産活動の技術向上に関する活動

1 技術マニュアルや普及啓発資料などの作成・配布

2 実証圃の設置等による自然環境の保全に資する農業の生産方式の実証・調査

3 先駆的農業者等による技術指導

4 自然環境の保全に資する農業の生産方式に係る共通技術の導入や共同防除等の実施

5 ICTやロボット技術等を活用した環境負荷低減の取組

・自然環境の保全に資する農業の生産方式を導入した農業生産活動の理解増進や普及に関する活動

6 地域住民との交流会(田植えや収穫等の農作業体験等)の開催

7 土壌診断や生き物調査等環境保全効果の測定

・その他

8 耕作放棄地の復旧及び復旧した農地における自然環境の保全に資する農業生産活動の実施

9 中山間地及び指定棚田地域における自然環境の保全に資する農業生産活動の実施 (農業者団体等の取組面積の過半が中山間地又は指定棚田地域の場合に限る)

10 農業生産活動に伴う環境負荷低減の取組や地域資源の循環利用

11 環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関 する法律(令和4年法律第37号)第21条第1項に規定する特定環境負荷低減事業活動 実施計画の認定を受けている場合又は当該年度までに認定を受ける見込みがある場合

12 その他自然環境の保全に資する農業生産活動の実施を推進する活動の実施

 

〇支援対象取組および支援単価

化学肥料・化学合成農薬の使用を都道府県の慣行レベルから原則5割以上低減する取組と合わせて行う以下の対象取組に対して支援を行います。

 

 主な取り組みは下記の通りです。

 (※支援単価は、国、県、市の合計額)

有機農業(化学肥料・農薬を使用しない取り組み)

・取組要件

 化学肥料、化学合成農薬を使用しない栽培を行うこと

・支援単価

そば等雑穀、飼料作物以外 → 10アールあたり14,000

そば等雑穀、飼料作物 → 10アールあたり 3,000

2 炭素貯留効果の高い堆肥の水質保全に資する施用

取組要件

C/N10以上の堆肥であって腐熟したものを使用すること。

主作物が水稲の場合は、10アールあたりおおむね0.5トン以上、水稲以外の場合は、10アールあたりおおむね1.0トン以上の堆肥を施用すること。

土壌診断を実施した上で、窒素、リン酸が必要成分量を超えないよう堆肥施用後の作物についての施肥管理計画を策定すること。

主作物が水稲の場合は、水田からのメタン排出削減に資する取組として、長期中干し又は前年度の湛水不実施若しくは秋耕のいずれか1つ以上を実施すること。

・支援単価

10アールあたり3,600

 

緑肥の施用

取組要件

カバークロップ、リビングマルチ、草生栽培のいずれかの取組であること。

品質の確保された種子が、効果の発現を確実に期待できる量以上に播種されていること。

適正な栽培管理を行った上で、子実等の収穫を行わず、作物体を全て土壌に還元していること。

主作物が水稲の場合は、水田からのメタン排出削減に資する取組として、長期中干し又は前年度の湛水不実施若しくは秋耕のいずれか1つ以上を実施すること。

・支援単価

10アールあたり5,000

 

総合防除

取組要件

以下の取組のうちいずれか1つ以上を取組の効果の発現が期待できるよう実施すること

1)除草剤を使用しない畦畔の雑草管理(主作物が水稲である場合に限る)(水稲生育期間中に除草を行うこと)

 

2)交信かく乱剤の利用(主作物が水稲以外である場合に限る)

 

3)天敵温存植物の利用(主作物が水稲以外である場合に限る)

 

4)天敵等生物農薬の利用(主作物が水稲以外である場合に限る)

 

上記(1)の取組を実施する場合は、水田からのメタン排出削減に資する取組として、長期中干し又は前年度の湛水不実施若しくは秋耕のいずれか1つ以上を実施すること

支援単価

そば等雑穀、飼料作物以外 → 10アールあたり4,000

そば等雑穀、飼料作物 → 10アールあたり2,000

 

 ・炭の投入

取組要件

塗料、接着剤等農地に不適切なものが含まれている炭を使用しないこと

支援対象農業者が自ら製造した炭を施用する場合は、農業又は林業を営む上で排出されたもの、かつ、木竹由来、草本由来、もみ殻・稲わら由来又は木の実由来のものを原料として、当該原料を市販の炭化装置を用いて販売元の示す炭化方法に従って十分に炭化した炭を使用すること。

10アールあたり50キロ以上(又は500リットル以上(施用する炭がもみ殻くん炭である場合に限る))の炭を施用すること

支援単価

10アールあたり5,000

 

・取組拡大加算

 取組要件

 有機農業の知識・技術を有すると市長が認める者が、有機農業の取組(そば等雑穀、飼料作物以外)の交付実績がなく、か つ有機農業の知識・技術の習得が必要と市長が認める支援対象農業者に対して指導を行うこと

 上記の指導を行う者及び指導を受ける農業者は、同一農業者団体内において、有機農業の取組(そば等雑穀、飼料作物以外)を実施すること

支援単価

(新規取組面積あたり)10アールあたり4,000

 

詳細については農林水産省ホームページをご覧ください。

www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/kakyou_chokubarai/mainp.html